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「独立行政法人 情報処理推進機構のDX白書」について

 6月13日(月)の例会では、(一社)IoTリサーチ&デザイン理事の今村 新氏をお招きし、「独立行政法人 情報処理推進機構のDX白書について」と題して講演いただきました。今回もZoomによるオンライン開催です。
 冒頭では、DX白書の位置付けについて解説されました。情報処理推進機構(IPA)がこれまで刊行してきた「IT人材白書」と「AI白書」を統合した白書になります(AI白書の後継版は、角川アスキー社へ民間移管し継続中)。
企業のDXの推進を目的として、IPAは日本および米国の企業のDXに関係する企業戦略、人材、技術について現状を調査・分析し、その結果を「IPA DX白書2021」としてまとめ、2021年10月に刊行しました。白書の構成は、第1部「総論」、第2部「DX戦略の策定と推進」、第3部「デジタル時代の人材」、第4部「DXを支える手法と技術」、付録という形態であり、企業インタビュー(事例)や有識者コラムも収録されています。


□第1部では、政府/IPAにおけるDXの取り組み経緯が、2018年のDXレポートから2021年のDXレポート2.1まで記述されています。2020年の情報処理の促進に関する法律の改正にともなう取り組みや、IPAにおけるDX推進への取り組み方針が紹介されており、今後はDXに取り組む企業にとって、指南書となる文書です。日米企業アンケート調査結果により、DX推進における課題抽出と解決策を示唆しています。DX取り組み状況は、情報通信業と金融業は日米ともに進んでいますが、製造業では日本が米国より遅れています。また米国企業のDXへの取組時期が日本企業と比べて5~6年ほど先行していることが記載されています。


□第2部では、DX戦略の全体像の策定と推進プロセスのあるべき姿を示しています。コロナ禍の様な脅威に対して、米国企業は対応速度が日本企業に比較して数段早く、チャットボットの利用やゼロトラストセキュリティ対応も迅速であることが紹介されています。日本企業はデジタイゼーションやデジタライゼーションの領域で成果を出すことが不足し、評価や見直しの頻度にも迅速さが欠けます。


□第3部では、日米比較にみる人材確保と社員のデジタル化対応が記載されています。DX推進に関して、「企業変革を推進する人材の確保」と「継続的な人材の育成」を課題とする企業は多いです。
 今後は、①企業変革を推進、担う人材の確保、②企業変革を推進、担う人材の育成、③企業変革を推進するリーダーにあるべきマインドおよびスキル、④従業員体験価値(EX)の項目が重要となります。

□第4部では、DXを支える手法と技術が記載されています。ビジネスニーズに対応するためにITシステムに求められる機能(達成度)は、日米企業での格差は大きい状況です。開発手法・技術の活用状況の日米企業の格差は大きく、専門的で高度なデータ分析のための工夫が不足しており、AIの利活用状況はここ数年で非常に上昇しているものの、AI導入課題としては「AI人材が不足している」という傾向が増加しています。
 質疑応答では、①日米比較する上で、企業風土の相違点や視点を経営者からとするかIT技術担当者からとするかで評価が分かれるとの意見、②AI導入課題の項目、③中小企業向けの国の具体的な施策などについて質問があり、次年度DX白書では「地域経済や中小企業におけるDX推進やデジタル化に特化したコンテンツ掲載について、議論されている状況」との講師コメントがありました。

城西支部 豊田 順一

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