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中小企業診断士による社会貢献事業(城東支部地域支援部)について

城東支部 佐々木 靜

墨田区東向島地域を中心に活動するNPO法人寺島・玉ノ井まちづくり協議会(てらたま)より、江戸東京野菜「寺島なす」を使って地域を盛り上げたいとご相談をいただき、2021年10月から中小企業診断士がブランディングを支援する活動を行っています。2022年8月に活動の大きな区切りとなる第1回「寺島なす★祭り!」が隅田公園そよ風広場で開催されたのでご報告します。

寺島なすは江戸時代、寺島地域(現在の墨田区西部)で多く育てられていた歴史ある野菜です。しかし、形や大きさを均一に育てることが難しく、一度は幻となってしまいましたが、地域の皆様がまちづくりのためにプロジェクトを立ち上げ、寺島なすを復活させました。現在は、てらたまが運営する「たもんじ交流農園」(墨田区墨田)にて、地域の皆様を中心に大切に育てられています。また、東京都西部の農家でも栽培されていますが、生産量は多くなく、市場にもあまり出回っていません。ブランディング支援の中でも認知度を高め、需要を増やすことで生産農家を維持していくことが課題と認識していました。

そのような中、第1回「寺島なす★祭り!」は、地域外の人にも寺島なすを知ってもらうことを目的に開催されました。寺島なすは味が濃く、火を通すととろっとした食感が特徴です。しかし、見た目は卵大と小ぶりのため、一般的ななすと比べると少し割高な印象を持つ方も多いようです。寺島なすの魅力を伝えるには、やはり食べてもらうのが一番!と考え、地元墨田区の飲食店が出店して寺島なす料理を販売し、おいしいと思った料理に投票をしてもらうN1(ナスワン)グランプリを企画しました。当日の朝は雨も降り、客足が遠のくのではないかと懸念されましたが、開会前にはすっかり地面も乾き、暑すぎず良いお天気に恵まれました。墨田区の観光名所ミズマチを通るお客様も興味を持って足を止めてくださり、お昼前から販売を始めた寺島なす料理は15:00前には完売する盛況ぶりでした。ご来場いただいたお客様の認知を高めるだけでなく、グランプリに参加した飲食店の皆様にも寺島なすのニーズを体感してもらいました。

その他にも、寺島なすを火に見立てたトーチをもって墨田区内を走る「青果リレー」など面白い企画も盛りだくさんでした。しかし、目的は寺島なすを使ったまちづくりであるため、単に寺島なすのおいしさを伝えるだけではなく、地域とのつながりを理解してもらうための工夫も行いました。寺島なすの特徴や歴史を江戸東京野菜の専門家に対談形式でお話しいただいたり、盆踊り「寺島なす音頭」を通じて墨田と寺島なすの関係を知ってもらったりしました。このように、てらたまの皆様が目的を意識した企画を立てられたのは、ブランディング活動でディスカッションを重ねてきた成果とも言えます。

診断士の支援は企画、当日の運営のみでは終わりません。来場者へのアンケートを実施し、その結果を基に振り返りを行い、次のブランディング活動に生かしていく予定です。今回のイベントは、地域の内外をつなぐ、まさに、てらたまが目指す寺島なすを使ったまちづくりに近づく大きな一歩となりました。成功を収めたイベントだからこそ単発的に終わることのないよう、支援を続けて参ります。

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