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城南コンサル塾第18期 実務実習に参加して②

城南支部 北村 純一

私達、城南コンサル塾の塾生6名は、黒田浩介指導員、西中基子副指導員のもと、8月27日から10月26日まで実務実習を行いました。実習先は名古屋に本社を置き、3期目にして業種の異なる5つもの事業を抱える社員7名の企業で、アパレル業界経験を持つメンバーが集まった「従業員のセンスの良さ」に強みのある組織です。

実務実習初日は、チームの顔合わせと、事前にお預かりした資料による企業概要の理解、社長インタビューの準備です。資料からは創業3年目にして主要事業を変えながら、5つもの事業を展開する企業のダイナミックな変化を読み取ることができ、インタビューで社長にお会いするのが楽しみになったことを覚えています。実務実習2日目の社長インタビューは、都内の店舗見学を兼ねています。私達はまず店舗に向かい、実際に商品や接客の流れを見学することにより、お客様がどのように購買を決定しているのかを理解することができた気がしました。見学できたのは5事業の中の1事業ですが、販売の現場を見ることで企業のお客様に対する考えへの理解が深まりました。その後、インタビュー会場への移動は、タクシーを利用する予定でしたが、ゲリラ豪雨の影響で空車が見つからず、電車での移動となりました。他の乗客もいる電車移動だったからこそ、社長とは本題以外の雑談が弾み、インタビューをとても和やかな雰囲気で開始できたのはよかったです。

実務実習3日目、各事業に対する分析が進みつつあった時に、黒田指導員からメンバーに対して「この企業はどういう企業なのか、そしてそういった企業に求められるのはどういった経営戦略なのか」という問いかけがありました。私達は事業別に分担して分析を進めていたため、5つの事業の各々の事業戦略は答えられましたが、経営・組織・財務戦略といった軸での分析が進んでいなかったことに気づいたのです。メンバーが各々の事業を担当する形で細部から分析を始めたため、企業全体としての分析が疎かになっていたということです。黒田指導員からは「社長は、5事業を同じ粒度で分析して欲しいわけではなく、あるべき組織・財務の姿を示して欲しいのではないでしょうか」とご指導いただきました。城南コンサル塾ではインタビュー手法の講義があります。塾生は講義で抜け・漏れのない効率的なインタビューテクニックだけでなく、社長の想いに寄り添い理解することが、インタビューの最も重要なポイントであることを学びます。インタビューを振り返ると、私達は社長の起業や経営、各事業に対する想いの理解が不十分なまま、分析を開始してしまっていたのです。
実務実習4日目までに私達はメンバーの役割分担を、5つの事業軸から機能軸と主要事業に振りなおし、チームメンバー間でオンライン会議を重ねる一方、社長にも追加インタビューをお願いし、ようやく実務実習5日目に最終日に提案する経営戦略の骨子にたどり着いたのです。社長は、アパレル経験人材の「センスの良さ」をアパレル外の事業で活用したいという想いを持たれており、社長の組織に対する考え方も独自性のあるものです。しかし、社長はその想いを進出するアパレル外事業の戦略にまでは落とし込んでおらず、組織戦略も策定されていませんでした。多くの事業を展開するなかで、各事業の位置付けや関係性、また本社部門の役割や機能を経営戦略として明確にできていないという点が、社長の経営面での悩みだったのです。私は、インタビューで社長の想いに寄り添えていないと、社長の経営面の悩みの理解が不十分になることをこの実務実習で学びました。

10月26日の報告会では、社長から「完全に納得です」とコメントをいただきました。経営の方向性に迷われていた社長が、私達の事業調査報告書の理解を通して方針を固められた、と感じられるコメントで、苦労が報われた瞬間です。

私は将来この企業が成長を続け、その独自性のある経営スタイルが「○○経営」のように世の中に認知されることがあるのではないかと思います。実務実習を通じてメンバーに多くの気づきを与えてくださった、社長・黒田指導員・西中副指導員にはこの場を借りてメンバー一同御礼申し上げます。

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