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中小企業施策研究会5月例会
「東京商工会議所の中小企業支援策&中小企業診断士に求められるもの」

城東支部 髙山 幸一

5月14日(火)に開催しました中小企業施策研究会の例会では、講師に東京商工会議所中野支部事務局長の安部泰起氏をお招きし、「東京商工会議所の中小企業支援策&中小企業診断士に求められるもの」というテーマでご講演いただきました。今回のご講演の要点を以下に紹介します。

  1. 商工会議所の概要
    ・1878年、東京、大阪、神戸に商法会議所として設立されたのが日本における商工会議所の始まりで、東京の初代会頭は渋沢栄一氏。
  2. 会員メニュー
    ・大手企業担当者を招き、バイヤーによる個別商談会を行っている。
    ・コロナ前は、名刺交換会やバス視察を実施し、地域の中堅・中核企業とコンタクトを取る機会があった。
    ・ザ・ビジネスモールや東商社長ネットといったウェブサービス、その他、共済制度、福利厚生制度(CLUB CCI)がある。
    ・ザ・ビジネスモールには23区内で約6,500社登録があり、昨年度約1,200件の見積依頼のうち、成約が200件を超えた。
  3. 商工会議所の3つの柱
    ・「政策提言・要望活動」「地域振興活動」「経営支援活動」が3つの柱である。
    ・23支部では、創業計画策定やマル経融資、持続化補助金の支援を、ビジネスサポートデスクでは、23支部の活動に加えて、事業再構築、事業承継支援など、より長期専門的な支援を行っている。
    ・BSD東京セントラルでは、事業再生、事業転換支援を行っている。
  4. 東京商工会議所の経営支援
    ・マル経融資、補助金、助成金、創業支援、経営革新計画、海外展開支援、事業承継、事業再生、経営安定を行っている。
    ・事業再構築補助金では、認定支援機関として、会員限定で確認書発行をしている。
    ・東京都では、経営革新計画を4つの機関で受け付けており、東京商工会議所はそのうちの約40%を占めている。
    ・海外展開支援のなかで最近増加したのは、海外の方による日本での創業相談である。
    ・事業承継支援の際、中小企業診断士は、税制への理解も必要だが、一番大事なのは経営者と後継者の間で、フラットな緩衝材となることである。
    ・東京都事業承継・引継ぎ支援センターにて、M&Aの支援をしているが、企業買収の要望が売却の要望を上回っている。
  5. 中小企業診断士の活躍フィールド
    1)専門家派遣事業
    ・エキスパートバンクでは23支部と相談センターで約600回の派遣をしている。
    ・中小企業活力向上事業の経営分析は中小企業診断士資格保有者しかできない制度である。
    ・ビジネスサポートデスクから専門家を1拠点あたり550回派遣している。
    ・派遣採用の入口は中小企業活力向上事業の経営分析の登録である。登録内容を参考に派遣者を決めるため、支援実績や得意分野を分かりやすく記載する。
    2)講演会、セミナー
    ・23支部で、年間約20回開催(計460回)。
    ・商工会議所職員も情報を求めているため、提案頻度や時期を把握するため適宜接点を作る必要がある。自分の営業セミナーではないことを理解し、提案していくことが重要である。
    ・支部でのセミナーの実績を積むと、商工会議所職員向けのセミナーに登壇するチャンスが生まれることがある。対象が各地区のセミナー企画を行う職員なので積極的にとっていく。
    3)窓口専門相談
    ・法律や税務が中心。一方で東京商工会議所本部が行うオンライン相談や持続化補助金等に関する支援で中小企業診断士への業務委託がある。
  6. 求める専門家像
    ・中小企業診断士の存在意義は、フラットな立場で、何が事業のキーなのか、何を変えて、何を変えてはいけないのかを経営者と一緒に考えていくことである。

最後に、東京商工会議所は中小企業の身近な支援機関の1つです。豊富な支援メニューを持ち、専門家との連携も密です。中小企業はもちろん中小企業診断士自身も積極的に関与していくことを勧めたいと思います。

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