【令和6年度社会貢献事業】中央支部渉外部による商店街まちゼミ
(特非)築地食のまちづくり協議会と協力した無料セミナー開催
中央支部 岡田 英二
中央支部渉外部では、中小企業診断士の経営知識を生かし、地域の事業者様のお役に立てる社会貢献活動の取り組みとして、地域商店街向けに「まちゼミ」を今年度実施いたします。(特非)東京都中央区中小企業経営支援センターおよび(株)日本政策金融公庫東京中央支店と連携し、築地商店街を対象に4回のセミナーを行う計画を、(特非)築地食のまちづくり協議会とともに立案しました。
2023年3月に東京都産業労働局が発行した「令和4年度東京都商店街実態調査報告書」には、調査対象とした東京都内の商店街数が調査を重ねるごとに減少しており、現在の景況については「衰退している」が 36.6%と最も多く、「やや衰退している」と合わせると 65.8%となっているとあります。また、他団体との連携については「連携している」が 64.1%、連携の相手先は「自治会・町内会」が 78.3%と最も高く、次いで「商工会・商工会議所」が 33.9%、「区市町村等の行政機関」が 33.3%となっており、中小企業診断士協会の知名度向上と商店街との連携強化による街の活性化が求められます。
第1回目のまちゼミは、7月2日(火)15:00から16:30まで築地食まちスタジオにて「事業にまつわるお金の話(事業資金を賢く確保!)」と題して中央支部の佐藤 健会員がセミナーを行いました。佐藤会員は金融機関で融資審査業務担当などを中心に30年以上従事した専門家です。金融機関の融資姿勢の変化や地域金融機関の動向について冒頭で触れた後に、事業資金の調達や資金繰りに関して網羅的に説明し、そして制度融資の紹介と金融機関との付き合い方を解説するなど、内容の濃いセミナーで、参加者も熱心に聞き入っていました。
金融庁が毎年発表する金融行政方針では、2020年は「コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く」を掲げて資金繰り支援の方針を示し、2023年は「経済や国民生活の安定を支え、その後の成長へと繋ぐ」を掲げて事業者支援能力の向上の方針を示していることを、佐藤会員が丁寧に説明しました。さらに、金融行政方針を踏まえ、地域金融機関の融資姿勢も「資金繰り支援」から「経営改善支援・事業再生支援」に変化していることを解説しました。
事業資金の調達に関してはいくつかの専門的な資金調達手段を示したのちに、自社の事業内容を整理して資金の出し手にわかるように説明することが重要であることを強調しました。こうした取り組みは地域金融機関や地域行政機関との連携を含め、中小企業診断士が力を発揮できる分野であり、積極的に活用するよう推奨しました。
その後、制度融資に関する説明を行いました。東京都や区市町の融資制度がたくさんあり、利用する場合は中小企業診断士へ相談することを佐藤会員が推奨しました。
最後に、(株)日本政策金融公庫東京中央支店の鈴木 翔太課長代理に登壇していただきました。主に小規模事業者経営改善資金(マル経融資)に関する説明がなされました。マル経融資では商工会議所などからの経営指導と商工会議所などの長の推薦が必要ですが、まず日本政策金融公庫に相談しても商工会議所などに取り次ぎはできるとのことでした。
このように、第1回目の「まちゼミ」では日本政策金融公庫と共同でセミナーを実施しました。参加者は、熱のこもった佐藤会員の説明を時折メモを取りながら真剣なまなざしで聞いており、有意義なセミナーであったことがうかがえました。