【令和7年度社会貢献事業】~ 中央支部社会貢献事業委員会が取り組む「まちゼミ」

カレーの街・神田で広がるつながり―まちゼミが生んだ学びと交流
中央支部 岡田 英二
中央支部社会貢献事業委員会では、中小企業診断士の経営知識を活かし、地域の事業者様に貢献する社会活動として「まちゼミ」を実施しています。今回は、地域の飲食店が参加するイベント「神田カレーグランプリ」を運営する神田カレー街活性化委員会、および興産信用金庫と協力し、イベント参加店舗を対象とした無料セミナーを開催しました。
神田界隈は300店を超えるカレー専門店が集積する「カレーの街」として知られており、このイベントは2011年にスタートしました。地元店舗の協力を得て実施される「神田カレーグランプリ」は、予選と決勝から成るイベントです。オンラインと店舗でのスタンプラリーを組み合わせた予選ファン投票で上位に選ばれた店舗が、屋外会場で行われる決勝「グランプリ決定戦」に進出します。スタンプラリーや常設の店舗マップを活用し、「街全体を巡る」体験を設計することで、リピーターの増加や周辺商店街への波及効果を生み出してきた地域活性化イベントとして定着しています。「神田カレーグランプリ」は、来場者が地域を回遊する仕組みを持つため、カレー店以外の周辺商店や観光スポットにも経済波及効果をもたらしています。地元商店街や信用金庫にとっても、地域ブランド力向上と集客の好機となっています。
今回の「まちゼミ」は、2025年9月17日(水)に予選を通過した20店舗が集まる説明会の後に開催されました。「飲食店必聴!使える得する補助金制度」というテーマで、中央支部の伊窪拓真会員が講師を務めました。セミナーでは、国内カレー市場の動向や、カレー店の補助金活用事例など、専門店を意識した具体的な内容が紹介されました。参加者からは「補助金申請にはどのような準備が必要か」「個人事業主でも申請可能か」といった質問が寄せられ、島田満俊会員が自らの事務所で申請した補助金申請書をスクリーンに映しながら、実践的なポイントを解説する場面もありました。
セミナー後の懇親会には、決勝進出店舗の事業者をはじめ、神田カレー街活性化委員会の関係者も参加され、決勝に向けた意気込みや今後の事業展望など幅広い話題で盛り上がりました。委員長からは、実行委員会形式で運営しているため公的補助を受けにくいことや、収支を単年度で整理する必要があることなど、運営上の課題も共有されました。神田カレーグランプリは知名度と地域貢献度を着実に高めており、持続的な発展のためには運営主体の組織体制を検討する余地があります。
個店の支援は中小企業診断士の重要な役割ですが、このような地域活性化の取り組みに対しても、中小企業診断士が寄り添い、組織運営や成長戦略の観点から支援を続けていく意義を改めて感じさせられる機会となりました。この「まちゼミ」は、地域と診断士が顔の見える関係を築く機会でもあります。実際にグランプリを支える方々と直接対話することは、診断士にとっても現場感覚を磨き、地域支援の幅を広げるきっかけになりました。中央支部社会貢献事業委員会では、今後も「まちゼミ」を通じて、中小企業診断士が地域経済の伴走者として果たせる役割を探っていく方針です。