【令和7年度社会貢献事業】「能登半島地震被災地オンライン視察」

~能登の今を知り、当時を振り返り、対話し、我々ができることを考える~
城南支部 村下 小津枝
2025年8月2日、東京都中小企業診断士協会城南支部は、社会貢献事業の一環として「能登半島地震被災地オンライン視察」を開催しました。2024年1月の能登半島地震から1年半以上が経過した今、現地の復興状況を直接取材し、その映像やインタビューをオンラインで配信しました。本事業は、被災地の現状を理解し、中小企業診断士として何ができるのかを考える契機とするとともに、防災意識を高めることを目的としています。
今回の事業は、大規模な被害が生じた能登に焦点をあて、復興の歩みを知るとともに、社会貢献活動の新たな形を模索するものでもありました。城南支部では、こうした取り組みを通じて「診断士が社会のなかで果たすべき役割」を再確認し、実務と社会貢献の両立を目指しています。
配信拠点は石川県七尾市に設けられ、現地に赴いた支部長や委員が中継を担当しました。冒頭では川居支部長から開会の挨拶があり、続いて石川県任期付職員として輪島市役所で復興支援に取り組む中小企業診断士の山﨑肇氏にご登場いただきました。山﨑氏からは、商店街や事業者の現状について現地の様子を交えながらお話しいただき、参加者は冒頭から真剣に耳を傾けていました。その後のインタビューでは、被災事業者が直面する課題や、復興を進めるうえで必要とされる支援について、具体的なエピソードを交えて紹介いただきました。
一本杉通りからのライブ中継では、仮設商店街の雰囲気が伝えられました。中央茶廊の窪丈雄氏からは、被災直後からの営業再開やSNSを活用した情報発信の取り組みが紹介されました。高澤ろうそく店の高澤久氏からは、伝統ある製造を再開し、井戸水の活用などを通じて地域と共に防災・復興を進めている姿が語られました。現地の力強い取り組みに触れ、参加者が能登の復興をより身近に感じる時間となりました。

後半のプログラムでは、七尾自動車学校の森山明能社長にご登場いただきました。森山社長からは、自校敷地内にある宿泊施設「TADAIMA」を避難所として開放し、事前に備えていた設備や備蓄を活用して被災者を受け入れた経験をお話しいただきました。特に10トンの貯水タンクを整えていたことにより、初日から温かい食事と安心できる環境を提供できたことは、平時からの備えの重要性を改めて示すものでした。インタビューでは、自治体や地域との連携、事業継続計画(BCP)の工夫についても触れられ、参加者は日常業務における防災のヒントを得ていました。
参加者66名に対するアンケート結果では、アンケート回答者52名のうち、98%が「大変満足・満足」と回答しました。自由記述には「森山社長の実体験に強く感銘を受けた」「能登の現状を知ることで自分の活動に活かしたい」「診断士として社会課題に向き合うきっかけになった」といった声が多く寄せられました。
今回のオンライン視察は、中小企業診断士が被災地を「知る」ことから「関わる」一歩へとつなげるきっかけになりました。同時に、防災意識を高め、自らの地域や顧客企業にどう伝えていくかを考える貴重な機会にもなりました。城南支部は今後も、災害復興や地域課題の解決に向け、中小企業診断士の知見を活かした社会貢献活動を継続的に進めてまいります。
