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「第21期 城南コンサル塾 第5回講義」

城南支部 黒田 智子

2025年9月20日、第21期 城南コンサル塾の第5回講義が、表参道・東京ウィメンズプラザにて開催されました。全11回の折り返しにあたる今回は、IT化支援および飲食・小売業診断をテーマとし、事前に基礎編動画を視聴したうえで、より実践的な内容を中心に進められました。講師陣の丁寧な解説により、受講生は未経験分野についての理解を深め、終始集中して学ぶことができました。

1限目は白井会員による「中小企業診断士が行うIT化支援の実務」でした。経営課題の異なる三業種の事例を通じて、IT化は目的ではなく経営課題を解決するための手段であることが示されました。特に、単なるIT化の導入提案にとどまらず、IT化の推進人材や活用人材を育成し、伴走支援を経て自走へ導くことの重要性が強調されました。人手不足を理由にIT化を後回しにし、かえって業務非効率に陥っている中小企業もあるなかで、今回の講義は、私自身の今後の支援のあり方を考える契機となりました。

2限目は、高田会員による「飲食業診断の実務」でした。高田会員は外食業界で19年の勤務経験を有しています。講義は、事前準備、ヒアリング、数値分析、改善の方向性など、支援の流れに沿って進められ、さまざまな課題が取り上げられました。そのなかでも、「コスト増加分の価格転嫁」は、中小企業を支援するうえで大変、参考となるものでした。原材料や光熱費の高騰を価格へ転嫁する際には、利益の確保と顧客の心理的負担の抑制を両立させる必要がある点が指摘され、飲食業支援の難しさを改めて実感しました。

3限目は秋山副部長による「小売業診断の実務」でした。具体的な診断方法に加え、販売フローの見える化、品揃え、インストアマーケティングについての解説が行われました。特に印象深かったのは、インストアマーケティングの奥深さです。プライスカード管理や店内POPの役割に関する秋山副部長の知見は、現場経験のない私にとって、小売業の理解を深める貴重なものでした。また、紹介されたさまざまな実例を通じて、実務において重要なことは、各現場の実情に合わせて知識や理論を活かしていくことなのだと学びました。

最後の講義として、模擬講演が実施されました。従来は「創業」をテーマとしていましたが、今回は「事業計画策定」「経営革新計画策定」などから任意に選択できる形式となり、テーマの自由度が広がりました。その結果、受講生の得意分野や関心領域が一層明確に表れました。講義の締めくくりとして尾上副部長からは、「受講生にメッセージをより明確に伝えるためには、セミナー構成をツリー型の階層構造に組み立てるとよい」とのご指導をいただきました。聞き手の理解を一層深めるため、ロジカルな構成に加え、さまざまな工夫を取り入れながら今後の模擬講演に臨みたいと考えました。

講義終了後には、東京協会の宇野副会長より中小企業支援に関するトピックスが紹介されました。東京協会の会員数は年々増加しているものの、登録人数や増減は都道府県ごとに大きく異なるとの説明がありました。さらに、地域によっては診断士不足により、中小企業支援が十分に行われていない実情についても指摘されました。東京を活動拠点とする診断士も、地方の中小企業支援に積極的に目を向けていく必要があると考えました。

第21期城南コンサル塾は残り6回となりました。限られた時間の中で、一つでも多くを学び取りたいと思います。

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