城西プロコン養成塾(JOPY)21期 第4回講座受講報告

事業継続のために診断士が行うべきこと
三多摩支部 武田 篤典
城西プロコン養成塾(JOPY)の名物実習である「企業診断(全6日)」が終わり、いよいよ21期のカリキュラムも後半戦に入りました。JOPYの特徴の一つに、講師の多くがJOPY卒業生であることが挙げられます。教わる側のレベルや状況を理解したうえで展開される授業は、質問しやすく吸収もしやすいです。また同窓会のような雰囲気もあり、他支部所属であっても、溶け込みやすいです。
2025年10⽉18⽇(⼟)に開催された第4回講座のテーマは、「資金繰り」 と 「事業再生」 でした。資金繰りや事業再生など事業を継続していくために必要となる知恵や知識を、税理⼠法⼈の代表をされている⿊澤 尚⽣会員と、事業再⽣⽀援の専⾨家でJOPY第6期生でもある北川 晴久会員に授けて頂きました。
(1)中小企業の資金繰り:資⾦繰り確保が事業継続の生命線
経営資源に限りがある中小企業が日々気を配らなくてはいけないことは、資金ショートによる不渡り・倒産であり、それを回避するために資金繰り表を作成します。しかしながら、⽇常的な資⾦繰りに関する知識もなく、資金繰り表や手元資金の推移表を実際に作成したこともありませんでしたので、作成演習は大変勉強になりました。また、様々な資⾦調達の方法や、緊急時の資⾦繰り確保などについても、現場に即した実践的かつ具体的な内容を中心に説明がありました。特に、資金繰りに関する豊富な事例をお聴きする中で、その重要性だけでなく、診断士としてオーナーに寄り添う際にも、資金繰りの状況把握は必須であることを強く感じました。これらに加えて、黒澤会員が税理士でもあることから、診断士が資金繰り支援を行う際には、診断⼠としての得意分野を明確にしたうえで、顧問税理士と連携・役割分担することが肝要であることも教えて頂きました。

(2)事業再生の実務:倒産に至らしめないことが診断士の役割
企業のライフサイクルの観点から、中小企業が注意しなければいけないことは、誤った方向性での事業展開やビジネスモデルの陳腐化による衰退期への突入・倒産であり、それを回避するために事業再生に取り組む必要があります。事業継続において非常に重要な事業再生ですが、実際に取り組んだことはなく、講師のリアルな事例紹介は、大変勉強になりました。併せて、倒産間際の切羽詰まった状態の中で、事業再生を支援することの診断士としてのやりがいやプレッシャーについても理解が進みました。また、事業再⽣における財務デューデリジェンスや、抵当証券と連帯保証の違いなど、現場で対処されてきたことを中心に説明がありました。特に、倒産回避における第1手は債権者に「リスケ」をお願いすること(=事業再建)ですが、それは事業再生への猶予期間をもらっただけに過ぎず、社長のやる気を持続させ、事業再生に取り組み続けられるよう伴走していくことが診断士としての重要な役割であることを強調されていたことが印象に残りました。また、この分野も、弁護士や公認会計士との連携が重要であり、診断士の強みであるビジネスモデルの転換やマーケティング施策の実行などの取組みを通じて、他の士業と住み分けることが重要であることも教えて頂きました。
JOPYでは実践に重きを置いたカリキュラムが組まれていますが、その中でも今回の講義は、事業継続を直接的に左右する内容でした。今回の内容を踏まえ、中⼩企業の伴走者を担う診断⼠として、現場で慌てず適切な支援を実践したいと思います。

以上