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中小企業基盤整備機構の施策を1時間半で早わかり
~中小企業施策研究会7月度例会報告~

中央支部 岡田 英二

7月度例会のテーマは「中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)の中小企業支援策」です。中小機構のアドバイザーである幕田行雄会員がコーディネーターとなり、中小機構関東本部企業支援課課長代理の安藤健氏を講師に迎えて、Zoomによるリモート開催で7月12日(火)に実施されました。
講師の安藤氏は23年間の中小企業支援を経験している実務派。ベンチャー支援、インキュベーター支援、ハンズオン支援などの実務に加えて、補助金の制度設計・運営を行う部署も経験されています。説明は3つのパートに分けて行われました。

最初のパートは「ハンズオン支援事業」「事業再構築アドバイス事業」で、いわば中小機構の企業支援で中核的な事業の説明です。4つあるハンズオン支援事業の概要を説明したうえで、「専門家継続派遣事業」「販路開拓コーディネート事業」については実例を挙げた解説がなされました。これらハンズオン支援では、自立と成長のための支援となるよう「プロセス型支援」を重視していることが特徴。具体的には、支援を受ける企業が社内にプロジェクトチームを設置して、企業が主体となった活動に専門家がノウハウを移転することで自立化を促進する手法を取っています。この支援の注意点は時間がかかること、支援を受ける企業のリソースを確保する必要があることです。そのため、ある一定の規模(従業員50名以上、売上高10億円以上の企業が多い。)の中堅中小企業に適した支援プログラムであることも解説していただきました。

第2パートは、中小機構がホームページなどで展開している解説や診断、検索機能に関する説明です。PRサイトである「中小機構に聞こう!」では、“幕末志士たち”を中小企業経営者に見立て、経営課題の解決策を紹介しており、自分がどんなタイプかがわかる「志士タイプ診断」も展開しています。支援機関の方が、中小企業支援のきっかけとなるツールとして、親しみやすく取り組みを解説してもらいました。

最後のパートは最近注目されている「生産工程スマート化診断」「SDGs(持続可能な開発目標)に関するご相談」「カーボンニュートラルに関するご相談」「海外展開ハンズオン支援」「J-GoodTech」の5つの取り組みの紹介を受けました。
海外展開に関しては、JETRO(日本貿易振興機構)でも支援していることから、中小企業を支援する中小機構の強みや取り組む意義について解説が加えられました。中小機構による海外展開支援は、漠然とした海外展開のイメージ段階から事業計画に落とし込む具体的な取り組み段階まで総合的に支援できることが特徴。たとえば、海外展開の前に国内販路のビジネスモデルのブラッシュアップをアドバイスすることもあるようです。また、海外進出経験が豊富で、具体的に販売のターゲットが決まっている海外販路開拓の案件の場合、JETROから情報を入手し相談することをお勧めすると話されていました。
生産工程スマート化診断の取り組みは、コーディネーターの幕田会員が経験を有することから、その体験談が披露されました。生産工程のロボット導入やIoT(モノのインターネット)を期待する企業からの申し込みでも、基本的な5Sや作業改善/工程改善ができていないケースも多いため、提案の仕方に工夫がいるという実情も聞くことができました。

各パートの間に設定された質問時間には、会員からの数多くの質問が出され、会員のニーズに合ったテーマであったことがうかがえました。専門家募集に関する質問や、会員が直接かかわりのあった事例企業の追加説明もあり、意見交換や情報交換が活発な月例会となりました。

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