1. HOME
  2. Members
  3. 中小企業施策研究会2月例会 東京都中小企業振興公社における支援施策の最新動向

中小企業施策研究会2月例会 東京都中小企業振興公社における支援施策の最新動向

2月15日(火)の例会では、東京都中小企業振興公社(以下、公社)の総合支援部企業人材支援課の課長代理である鈴木哲也氏をお招きし、「東京都中小企業振興公社の注力事業」と題して講演いただきました。

講師を務めていただいた鈴木氏は中小企業診断士の資格を保有し、以前は当研究会の会員であった縁もあり、卒業後も毎年講演をいただき、好評を博しています。公社では中小企業を対象に、総合相談や専門化派遣、デザイン、事業再生、創業ベンチャー、産学連携などの多様な経験と実績を積み重ねられています。今回の講演では、主に現在の所属課である人材支援事業や公社全体の注力事業、新型コロナウイルス関連事業について、解説いただきました。

人材支援の中核事業としては、年間100件以上の研修を開催しており、コロナ禍の影響を鑑みて、令和2年6月から開催方法を全面オンラインに変更しています。令和2年度はコロナ前と比較して受講者総数が落ち込みましたが、オンライン受講の浸透に伴って、令和3年度はコロナ前以上の受講者総数に達する見込みとなっています。

公社全体の注力事業としては、「政策課題専門家派遣事業」、「新しい日常対応事業」、「デジタル技術活用事業」、「グローバル人材支援事業」、「戦略的イノベーション事業」「地域資源活用」「職人ステップアップ事業」など、時代の先を見据えた経営課題の解決に有益な事業について、ご説明いただきました。令和4年度においては、DX関連事業などが、さらに拡充される予定です。

新型コロナウイルス関連事業としては、主に3つの軸で展開されています。1つめは、感染防止ガイドラインに沿った取り組みを支援する事業。2つめは、飲食店を対象とする事業。3つめは一時支援金の受給事業者向けの事業となっています。特に、時短営業の要請などで影響が大きい飲食店向けの事業は手厚くなっており、利用事業者がとても多い状況です。

恒例となっている公社の委嘱関係の採用関連についても情報提供がありました。例年、年末から募集が随時開始されますが、近年は募集案件が増加しています。要因としては、コロナ禍で社会の価値観が大きく変化し、新規事業の展開が増えていることや公募採用の流れにシフトしている点が挙げられます。

講義の後は、公社の各種支援施策の立案に際しての国との住み分けや、コロナ禍での支援方法(訪問、オンライン)の実情などについて、講師を交えて活発な意見交換がなされました。

中小企業診断士は、専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関などのパイプ役、中小企業への施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できる知識や能力が求められています。コロナ禍の影響が長期化し、中小企業への支援施策が過去に類を見ないほど豊富に展開されているなか、事業者自身で最適な支援施策を選択し、活用に至るのは容易ではありません。私たち中小企業診断士が常に最新情報をキャッチアップしながら、中小企業が時代の大きな変化に適応していくために有効な支援施策の活用サポートの役割を果たすことが重要であると改めて感じた例会になりました。

ペンネーム 酒井碧

関連記事

アーカイブ