中小企業施策研究会4月例会 会員による「事業再構築補助金」パネルディスカッション
4月12日(火)の定例会では、当会初の試みとして当会会員による、Zoomを使ったオンライン形式でのパネルディスカッションを行った。注目度の高い支援施策である「事業再構築補助金」をテーマに登壇者それぞれの切り口で講演いただいた。
なお、事業再構築補助金は「コロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的」とした経済産業省の補助事業である。
清水徹会員からは「事業再構築補助金の概要」と題して講演いただいた。制度概要のほか、第6回公募からの変更点として、新築の建物は説明書が必要となる点、事前着手は2021年12月20日以降の発注が対象となる点など、要点を押さえた解説をいただいた。
長岡一太会員からは「公募要領が期待する事業計画書の構造」と題して講演いただいた。公募要領・採択事例の精緻な分析を踏まえ、事業計画書の構造を可視化いただき、納得性の高いストーリー作りのポイントを検証いただいた。
池田雄紀会員からは「新米診断士が補助金と1年関わって」と題して、講師自身の補助金支援のなかで体験した成功や失敗・学びについて講演いただいた。事業計画の磨き上げのため診断士に支援を求めた経営者との出会いがターニングポイントとなった、というお話が印象的であった。
瀬尾千鶴子会員からは「経営者ファーストで事業再構築補助金申請支援を受注する」と題して講演いただいた。事業再構築補助金は魅力的である一方、仕組みが複雑で、経営者に寄り添った支援が必要。事業者のビジネスモデルと収益の源泉を理解し、支援する前より経営状態が良くなるようにしたい、など「支援者のあるべき姿勢」について貴重なお話をいただいた。
沼田邦男会員からは「再構築補助金も政策立案当局の動向を良く注視し支援を!」と題して講演いただいた。NHKで放送された番組「検証 コロナ予算77兆円」をもとに、事業再構築補助金に対して有識者から「有望な業界への殺到により共食いが生じるのではないか」要は「今後は審査よりレビュー(点検)を!」など厳しい意見が出ていることを紹介いただいた。また、認定支援機関は事業者に伴走し、悪意・重過失と取られないように留意が必要、との示唆に富むご助言をいただいた。
質疑応答では、事業計画書作成後の継続支援のあり方、補助事業の実行期間中に使える支援制度、補助金支援の受注ルートなどについて、登壇者と参加者で活発な意見交換が行われた。
1つのテーマであっても、その切り口や解釈は登壇者によってさまざまである。今回パネルディスカッションは、多様な意見に触れることの重要性に改めて気づかされた貴重な機会となった。
<p style=”text-align: right;”>中央支部 林 恭平</p>