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中小企業診断士による社会貢献事業(知的資産経営研究会)について

長野県の温泉地における地域版知的資産経営報告書の作成支援

城東支部 井上 有弘

 知的資産経営研究会は、財務諸表には表れにくい中小企業の強みである知的資産を活かす支援を行っています。具体的には、経営者インタビューや従業員参加のワークショップで知的資産を見える化し、整理、強化、組み合わせるなどして、価値創造に向けたストーリーを知的資産経営報告書にまとめ、効果的に活用してもらうための支援です。
 中小企業の経営支援のためにノウハウを蓄積してきましたが、地域の魅力を再発見するためにも応用できると考え、地方創生に向けた取組みにも力を入れています。令和3年度の社会貢献事業では、長野県佐久市の望月地区を対象に、住民や移住者、事業者、市の振興公社の方々を対象に、「強み発見ワークショップ」を実施し、地域資源の再発見を行いました。当事者には当たり前すぎて見えにくい地域ならではの強みを見出す ために、移住者や外部支援者である中小企業診断士など「よそ者」の視点を取り入れることが有効であることが確認できました。
 この成果を受けて令和4年度の社会貢献事業では、長野県上田市の山あいにある温泉地、鹿教湯(かけゆ)温泉を対象としました。「鹿教湯」は、文殊菩薩が鹿に身を変えて信仰心厚い猟師に出湯の場所を教えた言い伝えに由来するそうです。
 2022年8月7日、現地を訪問して事前調査をしたところ、地元の地方創生プロジェクトである「文殊テラスプロジェクト」が始動していることが分かったため、ワークショップより踏み込んで地域版の知的資産経営報告書の作成を提案しました。
 10月23日には、支援メンバーである当研究会の役田会員、重谷会員、伊藤会員らが現地を訪問し、山と渓谷に囲まれた自然豊かな温泉街の街並み、日本三大文殊のひとつである文殊堂、鹿教湯温泉交流センターなど、多くの地域資源を体感してきました。
【写真1:渓谷にたたずむ鹿教湯温泉】
 11月23日の支援メンバーによる打合せで報告書の構成がほぼ固まり、12月以降は順次、「文殊テラスプロジェクト」の中核メンバーへのオンラインインタビューを行っています。冬の誘客のための氷灯ろう、グランピングテントで楽しむ「こたつバル」、足湯も楽しめるCafe 、地元ジビエを活かした鹿肉バーガー、ツリーハウス、ペットツーリズムなどなど、様々なアイデアとそれを実践する熱意ある「人的資産」を発見することができました。
【写真2:プロジェクト拠点の1つであるDeear Cafe 】
 23年2月は報告書完成に向けて山場を迎えている頃です。鹿教湯温泉の知的資産経営報告書が、鹿教湯温泉の魅力を伝え、協力者を巻き込むための有効なコミュニケーションツールとなるよう、支援メンバー一同、尽力して参ります。

 

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