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中小企業診断士による社会貢献事業(城北支部令和型商連街支援事業)について

城北支部 鵜頭 誠

城北支部では、かつて東京都中小企業診断士協会地域支援部にて行われていた、「商店街支援事業」を令和の時代にも支援先から求められ必要である内容にアップデートを行った「令和型商店街支援事業」を行っています。
城北支部と連携する支部内の5区会を通じて、各区内で再開発などにより課題が複雑化している商店街、新たに立ちあがった商店街、コロナ禍以降のイベント再興に悩んでいた商店街などより支援の要請を受け、支援に取り組んでいます。
令和5年度からは、荒川区、北区において、新たな商店街の支援が始まりました。
商店街支援にあたって重要なのが、「支援者を1人にしない」ことです。本事業では支援者のみならず、アドバイザーを立てておりますが、それぞれのアドバイザーは区内の商店街支援に精通しているメンバーを充てています。また、全商店街支援者に対して、キックオフミーティングをオンラインで開催し、事業の統括アドバイザーより、商店街支援にあたってどのような心構えが必要か、どのようなヒアリングにより支援すべき項目を見つけだすか、どのような対応業務が望まれているか、補助金や事業の提案の仕方をどうすべきか、といった視点について技術的なアドバイスを行いました。
さらに、新たな商店街の選定後、支援者、アドバイザー、事業統括アドバイザーとで連携しながら、支援商店街の課題の洗いだしを行い、各商店街の支援方針を策定したうえで開始をいたしました。
支援にあたる方によっては商店街支援が初めての方もおります。このような場合、商店街支援の取組のイメージが沸いていないことが多いです。しかし、何となく「コミュニケーションをとれればよい」という事だけでは先方商店街の期待に応えられません。
支援先の期待に応えるためには、望ましい姿をどのようにイメージしているか、理事の方々のさまざまな言葉から発見し、その想いを繋ぎあわせ、その結果として個店のにぎわい、売上の向上、加盟店のメリットの構築等に繋げるきっかけがないか探ることが重要です。
商店街において、新たな事業の提案に向けたヒアリングをしても、意見が出にくいことが多いです。その理由は、発言した理事が自分でやることになってしまうという先例が多かったことから、あえて思っていても口には出しづらいということがあります。そういった場面では、理事に1対1での個別ヒアリングをしたり、合意形成の会合において、「言った人が実施するとは限らないので、皆でやるものとして発言してほしい」と強調したりすることで、多様な意見が出やすい運営を行う事が重要です。
商店街支援は、中小企業支援、個店支援と比較しても難易度の高い支援といえます。商店街を支援の「登竜門」という方もいますが、簡単な領域ではなく、成果を果たすには中小企業診断士の力量が現れる領域です。商店街の会長は、地域のさまざまな方と交流し、相手の力量を見極める力が豊富な方が多いです。このため、「見てきたこと」と「見てきたようなこと」の違いはすぐ見抜かれてしまいます。
このように、商店街支援では、中小企業診断士が十分に支援経験を果たし、謙虚な姿勢で傾聴を行いつつ、支援実務を積み重ねながら現場に溶け込んでいくことが重要です。
これから商店街支援を志す人が多くなっていくように当事業を位置づけています。その実現のためには、上記のような商店街支援に対する考え方のアップデートが不可欠です。
城北支部では各エリアでの商店街支援の要望が高まっています。この期待に組織一体となった力で応えるべく、商店街支援力のある中小企業診断士の育成に引き続き取り組んで参ります。

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