城南支部認定「中小企業SDGs支援専門家養成コース(第2期)」
~第7回の実施報告~
城南支部 佐藤 真紀
SDGs支援専門家養成コースの第7回は、足立講師よりSDGコンパスのステップ4「経営に統合する」の講義がありました。SDGコンパスとは、SDGsを企業戦略に取り入れ、経営を進めていくために、5つのステップに分けられたツール(ステップ1「理解する」→ステップ2「優先課題の決定」→ステップ3「目標設定」→ステップ4「経営に統合」→ステップ5「報告とコミュニケーション」)です。ステップ3で設定した目標を企業に定着させるために、経営層のリーダーシップが特に重要とされ、SDGsを事業として取り組む根拠やメリットを社内に浸透させ、全社員の理解と取り組みを促進します。これは、目標にあまり関連の無い部署も含めてすべての部門に組みこむ、ということであり、また、ステークホルダーも巻き込みながら取り組むということで、講義を聞くにつれ、容易ではないことがわかります。
このSDGs経営を実践している企業の経営者の方(ホットマン株式会社、代表取締役社長 坂本将之氏)に、経験談をご講演いただきました。
ホットマン株式会社は、明治元年に創業したタオルを主軸とした老舗の繊維メーカーで、すべての生産工程を自社で行える一貫生産、そして販売までも自社で行う製販一貫という、タオル業界では他に類を見ない独自の仕組みを構築しました。
また、「化学物質」は使わない、生ごみ以外は燃やさない、フェアトレードタオルを2014年に発売、など、環境に良いもの、人権や貧困問題に対する問題意識をもともと持っていた会社でした。そんななか、2018年に「グリーン購入大賞」に応募、経済産業大臣賞・大賞を受賞したことをきっかけにSDGsを全社的に浸透させる取り組みを本格化しました。部門・部署に丸投げすることなく、社長と経営サポート部1名との二人三脚だったそうです。
社内へ浸透させるために、一番悩み、工夫したのは、少人数(最大で10名)での勉強会形式、楽しく社員との目線を合わせた対話、これに注力しました。新しいことを始める際、古参の社員からの反発、経理部など直接関係の無い部署の無関心を起こさないために、プラス効果の共有、社員への見える化、社外へ発信して評価をもらう、が効果的なのがわかったそうです。
その結果、社員からBtoB営業の新企画提案があるなど社員のモチベーションの向上、新たな発想で新しい事業の導入につながり、徐々に効果がでてきました。また、もはやSDGsに取り組んでいないと取引先から切り離されるのではないかという不安、もはやリスクであるという懸念が芽生えはじめました。講師である坂本社長から、「もはや、SDGsは、自社がこれから進むべき方向を示す道しるべのようなもの」と言い切っていたのが印象的でした。
講義の後は、社長へ「SDGsへの取り組みには何が最も大切か」など受講生からのヒヤリングが活発に飛び交いましたが、坂本社長は丁寧に応えてくださり、受講生は聞き逃すまいと真剣にメモをとっていました。講義のあとは、事例企業のヒヤリングをもとにSDGs経営支援内容をグループに分かれて討論、発表を行いました。あらためて、SDGs経営への支援について考えさせられました。
そして、足立講師からは、SDGs経営への支援に重要なSDGコンパスとともにSDGインパクト基準の概要の講義もあり、次回にインパクト基準の詳細の講義があるので、実践に向けた理解に努めたいと思います。