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ダイバーシティ研究会の紹介

松崎貴史(城南支部)/藤井篤宜(城東支部)/佐藤一樹(三多摩支部)

1. はじめに
ダイバーシティ研究会は、「みんなちがってみんないい」の精神を広め、「誰もが自分らしく自分の夢を持ち、その実現のために努力することができる社会の実現」を目指すといった理念のもと、活動をしている。
当研究会は、毎月の例会にて、異なる背景や視点を持つ中小企業診断士のメンバーが集まり、ダイバーシティの理解と推進を目指し、ダイバーシティの理論と実践に関する最新の知見を共有している。
本稿では、2章で研究会の沿革、3章で研究テーマと領域、そして、当研究会の具体的な活動として、4章で外部講師によるセミナー、5章で執筆およびセミナー、6章でイベント、7章に関連団体をそれぞれ紹介し、8章で結ぶ。
以下2章から順に、当研究会の紹介をしていく。

2. 研究会の沿革
ダイバーシティ研究会は、2010年に設立され、今日に至る(図表2-1)。

図表2-1 研究会の沿革

 

3. 研究テーマ
ダイバーシティの属性は、たとえば、外部から判断しやすい属性(人種、年齢、障害の有無など)や外部から判断しにくい属性(価値観、性的指向、宗教など)により異なり、外部的な多様性だけではなく、内面的な多様性に対する理解も必要である。したがって、これらの組み合わせにより、研究テーマは多岐に渡る。
本稿では、多岐に渡る研究テーマの中から、中小企業における以下の活動に関するテーマについて、4~6章で説明していく。
(1) ダイバーシティ経営
(2) シニア活躍支援
(3) 性的マイノリティ活躍支援
(4) 障害者支援

4. 外部講師によるセミナー
設立以来40件のセミナーを実施し、直近5年間では、19件(年平均約4件)の外部講師を招聘し、ダイバーシティに関する最新情報を収集している(図表4-1)。

図表4-1 直近5年の外部講師によるセミナー実績

 

5. 執筆およびセミナー
当研究会の執筆および当研究会オリジナルのセミナーの実績は図表5-1の通りである。以降、文献ごとに、執筆活動やセミナーの概要を紹介する。

図表5-1 執筆およびセミナー実績

 

5.2 執筆活動概要

図表5-2 ダイバーシティ経営[1]

5.2.1 ダイバーシティ経営
文献[1]では、経営コンサルタントがダイバーシティ経営の導入方法と推進手法をまとめている。前半はダイバーシティ経営への疑問に答え、後半は具体的な推進ノウハウや事例を紹介している。この文献は多様な人材活用のための組織変革の手引書である(図表5-2)。なお、文献[1]は、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部作成「働き方改革アドバイザー」研修コンテンツに採用されている。

5.2.2 ダイバーシティ・コンサルタント養成
文献[2]は、経営にダイバーシティを導入する考え方と具体的な推進方法をまとめたものである。中小企業診断士などの専門家を「ダイバーシティ・コンサルタント」として育成するためのテキストとして執筆した。なお、平成28年度中小企業経営診断シンポジウムにおいて、前代表の佐藤一樹が本テキストに関する発表を行い、中小企業診断協会会長賞を受賞した。また、JDIO(*)のダイバーシティ・コンサルタント養成講座テキストにも反映されている。JDIOの活動内容については、7章で示す。
(*)JDIO:(一社)日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構

 

5.2.3 シニア活躍支援
文献[3]は、シニア人材を活躍させる方法を解説している。労働力不足が深刻な日本でのシニア人材の社会的必要性を説明し、企業がシニア人材を採用・教育して、活躍できる環境を整備する方法を具体的に示している。また、人生100年時代のシニアの働き方や学び方の解説や、スウェーデンの制度や国内のシニア活躍事例も紹介している。

5.2.4 性的マイノリティの活躍支援
文献[7]は、性的マイノリティ(LGBTQ等)の理解とSOGIハラ防止、国内外の先進事例や中小企業の事例研究をまとめている。そして、性的マイノリティの活躍推進に悩む中小企業向けに、指標に沿った取組みを進める伴走支援サービスも紹介している。また、中小企業診断士や経営支援専門家が性的マイノリティ支援を実践するためのガイドとなる内容である。
(*) SOGIハラ:SOGIはSexual Orientation and Gender Identityの頭文字で、性的指向や性自認を理由としたハラスメントのこと

図表5-3 寄付サイト[9]

5.2.5 障害者支援団体支援
当研究会で支援している「NPO法人こつこつ」は、「障害があり発話が難しくても意思があり、言葉を伝える方法があることを社会に広めること」をミッションとして活動する団体である[9]。当団体は、近年、スタッフの高齢化やコロナの影響により、寄付や若手ボランティアの減少が問題となっていた。文献[9]では、前述の問題を解決する寄付サイト構築(図表5-3)や人材募集サイトなどの支援ノウハウをまとめている。
寄付サイト:https://syncable.biz/associate/kotsu2/donate

 

 

 

図表5-4 ダイバーシティ・カフェLP[4]

5.3 セミナー活動概要

5.3.1 多様な人材の雇用支援
文献[4][5]では、事業コンセプトを持ち多様な価値を提供する「ダイバーシティ・カフェ」を定義し、国内外の事例を紹介している(図表5-4)。また、飲食店向けの集客方法や経営理念の再確認、当事者団体向けのコミュニティ形成やコミュニティカフェ開業ノウハウなども説明している[4]。

 

 

5.3.2 性的マイノリティ活躍支援

図表5-5 動画セミナーLP[6]

(1) 動画セミナー
動画セミナーは以下2つのセミナーから構成されている(図表5-5)[6][8]。
(a) SOGIについて知ろう(セミナー1)
一般社員向けに、SOGIハラを理解し、性の意識をアップデートして、皆で働きやすい職場を作ることを説明している。
(b) 性的マイノリティの活躍を推進しよう(セミナー2)
人事・管理部門や経営者向けに、SOGIハラ防止研修の対応方法と性的マイノリティの活躍推進による働きやすい職場づくりを説明している。

 

図表5-6 事例共有会スライド[10]

(2) 事例共有会
性的マイノリティ活躍支援に取り組む中小企業向けに、情報交換やネットワーキングの場として事例共有会「レインボーカフェ2023」を実施した(図表5-6)。本会により、中小企業での性的マイノリティ支援の推進と社会の理解促進が期待される[10]。

 

 

図表6-1 TRP2024ブース前にて

6. イベント
6.1 東京レインボープライド
日本最大級のLGBTQ+関連イベント「東京レインボープライド2024」(TRP2024)に、当研究会は中小企業診断士の団体として初めてブース出展した(図表6-1)。ブース出展を通じて、LGBTQ+当事者や支援者と交流し、貴重な経験を得た。今後も「虹」のように思いと経営者を繋ぎ、中小企業のダイバーシティ推進を支援していきたいと考えている[11]。

 

6.2 訪問活動

図表6-2 分身ロボットカフェにて

6.2.1 分身ロボットカフェ DAWN ver.β
2022年に、研究会メンバーで日本橋の分身ロボットカフェ DAWN ver.βを訪問した。本カフェは外出するのが困難な方々が、分身ロボットOriHime(*)を遠隔操作して接客するカフェである(図表6-2)。
(*)OriHimeは株式会社オリィ研究所の登録商標です。
ホームページ:https://dawn2021.orylab.com/

6.2.2 性的マイノリティ就労移行施設
2022年に、研究会メンバーで、認定NPO法人ReBitが運営する就労移行支援施設Diversity Career Centerに訪問した。訪問時には、Rebit代表から大企業と中小企業のLGBTQ+に取組む動機の違いなどを教えていただいた。

6.2.3 企業訪問
2019年に、研究会メンバーで「経済産業省ダイバーシティ100選」選出企業であり、高齢者・外国人・障害者雇用に積極的に取り組む(有)川田製作所(小田原市)を訪問した。

 

図表7-1 JDIOホームページ

7. 関連団体
2016年に当研究会が母体となって設立したJDIOでは、企業におけるダイバーシティ・マネジメントの実現の下、コンサルティング事業やダイバーシティ・コンサルタント養成講座などの事業を行っている。講座等のお問い合わせ先を以下に示す。
[お問い合わせ先](HPからも可)
お問い合わせ:info@jdio.jp
ホームページ:https://jdio.jp/

 

8. むすび
本稿で、当研究会の活動を紹介した。本稿を読んでいただき、当研究会の活動に興味を持たれた方は、毎月の定例会はオンラインで実施しているので、ぜひ気軽にご見学をいただきたい。当研究会の活動形態やお問い合わせ先を以下に示す。私たちと一緒にダイバーシティ推進活動をやっていきましょう!

[活動形態]
・定例会 :毎月第1火曜日19:30~21:00
・会費等 :年会費1万円、スポット参加1千円、初回無料
・開催形式:主にオンライン

[お問い合わせ先](HPからも可)
お問い合わせ:d-ken-jimu@googlegroups.com
ホームページ:https://diversitystudy.tokyo/

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