商店街研究会11月定例会報告
荒川なかまち通り商店会
城北支部 鵜頭 誠
商店街研究会11月例会は、荒川なかまち通り商店会を視察し、講師には万年克介会長を迎えて、荒川三丁目町会会館で行われた。参加者は11名であった。
1.荒川なかまち通り商店会
荒川なかまち通り商店会は、生鮮三品が残る下町商店街として、約500mの直線に店が並ぶ商店街である。JR三河島駅徒歩3分の場所に立地し、JRの駅としては荒川区役所までの最寄り駅であり、区役所に行き交う方々は一定のターゲットとなっている。明治通りと並行に商店街が立地し、歩きやすい空間として近隣の方々を中心に活用されている。
商店街の歴史は昭和28年まで遡り、当時はオリンピック等の出店を見越して振興組合化し、阿波踊り等を実施し、地域のにぎわい創出に尽力してきた。
2.日常的なにぎわいづくり
阿波踊りは平成20年代に入って無くなり、その後は日々のにぎわいづくりのために土曜びっくり市など、土曜日のにぎわいづくりに尽力してきた。しかし、商店街への逆風は厳しく、平成23年頃から魚屋が2店廃業し、惣菜屋や肉屋、八百屋が少なくなった。現在も何とか生鮮三品を維持しているが、継続に向けて厳しい情勢となってきた。
このようななかで、平成26年度に国のにぎわい補助金を活用して、商店街のMAP冊子を作ったり、商店街におけるハロウィンウォークを実施することとなった。ハロウィンウォークは、商店街が自ら企画を考えた活性化策であり、発端は中村前会長の「1日で良いので昔のように街が人で埋め尽くされる日をつくりたい」という言葉だった。この言葉をもとに、当時の万年副会長が近隣商店街を視察し、その知見を活かしながらハロウィンウォークの基盤を築いていった。
3.新たな活性化策、商店街ハロウィンについて
秋の買い歩きスタンプラリーと共にスタートしたハロウィンウォークは、加盟店のお買い物を3店舗以上でお買い物をするとガラポンが引ける抽選会と、同日に仮装した子供達によるパレードを行うハロウィンウォークとしてスタートした。
ハロウィンウォークは地域の峡田ふれあい館と連携し、着替え場所や衣装作りのワークショップを峡田ふれあい館にて実施し、この峡田ふれあい館を出発点としたハロウィンウォークを13時〜と15時〜にそれぞれ行った。延べ300名程の子供達がハロウィンウォークに参加して、中村前会長の望むような、商店街を埋め尽くす街の姿が実現された。
しかし、令和2年からコロナの発生により、ハロウィンウォークの存続が危ぶまれた。しかし、地域の子供達にとってはどのイベントも中止になるなかで、商店街のイベントを単純に中止することが望ましいとは考えなかった。継続できる手段を模索し、これまでのハロウィンウォークは無しにしつつもイベント自体は無くさず、時間予約制でのハロウィンとして、家族毎に密を避けた運営に切り替えた。
また、ターゲットも広く告知するのではなく、地元の人達に向けた告知に切り替え、商店街に日頃から足を運んでくれる人達を中心に多くの人達を集めた。
これにより、少人数制で参加できるハロウィンイベントの継続ができ、コロナ禍でもイベントを止めないハロウィンの実施が実現された。その結果として、地域住民との連携が高まり、ハロウィンの運営改善に関しても意見を言っていただけるなど、コミュニケーションを密にしながら運営改善につなげていった。令和6年度のハロウィンウォークでは、参加した子供達の数だけで720名程度までとなり、過去最高の来場者数を記録した。
4.新たなお店と加盟促進の取組
最近商店街では駅前付近に店舗が新たに開業している。ラーメン店や居酒屋等が並び、これまでなかった飲食店の連なりが出てきている。これらの新規加盟を促進すべく、商店街の加盟促進に尽力している。令和6年度当初にできた新店舗の勧誘をすべく、「商店街へのお誘い」を作成し、診断士の支援を得ながら加盟店に見せられるような資料を作ったうえで、これまで街区周辺にあった商店約20店舗をリストアップして声をかけて回った。かつてより声をかけられていなかったお店からは、今の時点での声かけに驚くところもあったが、地域一円の店舗に対して地域内の横連携でのコミュニケーションに活かすことができた。この取組によって、商店街入口のダイニングバーを新規加盟店とすることができた。引き続き隣のラーメン店とコミュニケーションを深め、既に町会での関係性を持っている特徴を活かし、商店街加盟につなげていく予定である。
5.新規加盟店の要望について
最近商店街にお店を構えたパン屋の店主が大変前向きであり、商店街の活性化にも意見をいただいた。今年度のハロウィン事業で初めてお菓子配布店舗として参加したが、普段の5割増の売上向上に繋がったとのことであった。
店主曰く、荒川なかまち通り商店街の近隣は道と商店が入り組んでいるため、迷路のように探究してもらえるニーズが拾えるのではないかと意見があった。地域の子供達が商店街をアトラクションのように楽しめる様子がとても望ましく、ハロウィンのみでなく、景品はささやかでありながらも、商店街を歩く体験が出来れば望ましいのではないかと意見があった。
新たな商店主の力も得ながら、荒川なかまち通り商店会は新たな取り組みを増やし、加盟店の一体感醸成とともに新たなお客様の獲得に繋げていくとのことであった。
《万年会長より直接ご説明いただきました》
《ハロウィンウォークを中心とした資料》