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城西プロコン養成塾 第5回開催報告

地域や家族を守る経営支援

城西支部 近藤 さや佳

 12月17日(土)、城西プロコン養成塾(以下JOPY)18期の第5回講座が開催されました。
 第1部は、中小企業診断士で埼玉県商工会議所連合会広域指導員、よろず支援拠点全国本部サポーターであり、創業、経営革新、事業再生、補助金活用支援など、数多くの実績をお持ちの黒澤元国氏による「経営革新計画支援の実際」についての講義です。始めに、中小企業成長促進法のスキームや経営革新計画の承認要件などについて学びました。私が中小企業診断士の試験勉強として中小企業経営・政策を学んでいたのは2018年頃で、古い知識のまま止まっている部分がありました。法律改正、コロナ危機下における経営支援のあり方の変化、これから想定される事態等、現状に即した知識を得ることができました。
 次に、具体的な支援についてたくさんの実例を紹介していただきました。精密部品加工のD社の事例では、経営者と創業経営者のそれぞれに話を聞くことで本質的な経営課題を導き出しました。経営における「組織」と「ヒト」の重要性を学んだ事例でした。地元産ワインの製造販売・農家レストラン経営のC社の事例では、時には、代表者の想いを尊重しつつ、「無理なことには厳しいですね」、とストップをかけながら、夢の実現に向けて案のすり合わせを行って、具体的な事業実施と資金調達手段を組み立てる必要があることを学びました。その他、ワインやビール、チーズといった商品戦略からバーや宿泊施設、観光地作りや、それら施設に関連する業種に至るまで、地元を中心とした地域活性化戦略への広がりとしての事例を紹介していただきました。一企業ごとの支援が相乗効果を生み、地域全体を活性化させるという規模の大きな事例として勉強になりました。また、転廃業支援の事例では、経営者家族の生活を守ることに重きを置いた支援内容を学びました。
 第2部は、中小企業診断士で事業承継士、事業承継プランナーの内藤博氏による「事業承継における中小企業診断士の役割」についての講義です。印象的だったのが、自分の家系図を4世代100年分書いてくださいとおっしゃったことです。事業承継を進める上でやるべきことや必要なことが分かっていても、そこには人や社会の変化、価値観の変化、心の変化などが作用し、全てを機械的に、スムーズに進めることは難しいことがわかりました。自分の家系図を知る、すなわち今まで受け継がれてきた家族のルーツを知ることは、事業承継問題に取り組むにあたり、基本的・根本的な考え方を知ることと理解しました。また、青森県の事業承継推進の取り組み例を紹介いただき、事業承継は家族の存続だけではなく、地域を存続させていくことに繋がることも理解しました。
 具体例としてご自身のケースを上げていただくことから始まり、事業承継は後継者候補を探し、育てること、引き継ぐべき資産は何があるのか「見える化」すること、人と会社を切り離すこと、現経営者と後継者の利害の一致を図ることが必要であると学びました。また、廃業支援ではなく、残せるものと捨てるものを分別し、企業のリサイクル(経営資源のリサイクル)を図る事例もご紹介いただきました。2講義とも、より具体的な支援事例をご紹介いただき、大変勉強になりました。
 6月から始まり、約7か月に渡るJOPY18期のカリキュラムが全て終了となりました。様々な学びがあり、受講生同士で繋がることもでき、大変有意義でした。皆様、本当にありがとうございました。

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