【令和7年度社会貢献事業】
中小企業ビジネスモデルの社会共創思想の体系構築と事業創生診断の準備

三多摩支部 山崎 康夫
東京都中小企業診断士協会三多摩支部の先端ビジネスモデル研究会が発足したのが、24年前の2001年4月でした。中小企業の経営層をゲストに招き、1時間半程度お話を伺ったのちに、聴講者との質疑応答を行うスタイルで、中小企業の実践的な先端ビジネスモデルの研究をしてきました。講演当時に、特徴と強みのあるビジネスモデルを実践していた13の中小企業を選び、講演当時からのビジネスモデルの変遷をインタビューにより、中小企業の成長の秘訣を事例から調べる目的で、書籍を2023年に自費出版しました。この中で、成功する中小企業は、同時に社会共創思想の考えを、意識せずに実践していることを傾向として掴むことができました(図1)。
そこで、成功している中小企業を選定し、インタビューにより「実践している社会共創思想」のモデルを調査し、事例をまとめることで、創業希望者、第二創業希望者、ビジネスモデルを変えていきたい経営者へ、「社会共創思想」へのヒントを掴んでほしいとの理由により、今回の社会貢献事業化を計画しました。本事業は、中小企業診断士として、中小企業の経営について、診断・助言を行える能力を活用できるものと考えます。
そのために、中小企業を成功に導くビジネスモデルの中で「社会共創思想」の役割を、中小企業経営層へのインタビューにより、事例を調査し、モデル化することにより、これから創業を考える方々にとって参考となる考え方としてまとめ、社会競争思想として広げていくのが目的です。
インタビューは、6月から8月まで8社実施済です。先端ビジネスモデル研究会の有志が6名で分担しました。現在、まとめを執筆中です。製造業やサービス業など多岐に渡っています。
1) 株式会社ワイピーシステム:表面処理メーカーが「消棒」で新事業開発
2) 横浜コミュニティデザイン・ラボ:地域と人をつなぐコミュニティデザイン
3) 有限会社エニシング:帆前掛けに見る社会共創とイノベーションの実現
4) 株式会社マツブン:地域産業を活性化させる刺繍ビジネス
5) 株式会社アポロジャパン:見えないコードで心理的な垣根をなくすビジネス
6) 合同会社ドローンの窓口:ドローンを活用して農業の人手不足に貢献
7) 笠原産業株式会社:栃木県産小麦で地産地消への取組み
8) 株式会社 Watanabe’s:未来を染める「ジャパンブルー」
今後は、この8つの事例をまとめ、それぞれの社会貢献のタイプを分類します。また、中小企業診断士が、中小企業に社会貢献の診断ができるように、「社会共創診断チェックリスト」を作成し、次年度に実施予定の社会共創診断のベースを構築する予定です。
