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【令和7年度社会貢献事業】
知的資産経営による伝統工芸職人技の活路開拓

知的資産経営研究会 役田 泰江

知的資産経営研究会は、財務諸表には表れにくい企業に固有の人材、技術、組織力、ネットワーク、ブランドなどの知的資産を認識し、有効に組み合わせて収益につなげる「知的資産経営」の実践を支援しています。
社会貢献事業の活動では、中小企業向け知的資産経営の支援手法を地域活性化に応用し、「強み」となる地域資源を整理、明確化し、地域社会の課題解決に向けた取り組みを2021年度から継続しています。今年度は、その対象を「特定地域(場所)」から「伝統工芸の担い手(人)」へと軸を変え、7名の有志メンバー(石田充弘、伊藤千恵、木内清人、後藤信之、齊藤慶太、役田泰江、山﨑健二郎(50音順))で5月より始動しました。
まずはメンバー間の伝統工芸品に対する市場知識や課題認識を合わせるために、メンバーの支援経験談を交えながら、各自が基礎的な伝統工芸の定義や関連する組織の体系、各種データや行政の報告書を調べて共有するなど、伝統工芸品が置かれている状況への理解を深めました。そして、図表1に着目し、「課題 ⑦稼ぐ意識・スキルの低さ」の解決には、中小企業診断士の知見やスキルを活かすことができ、かつ、他の①~⑥課題解決にも寄与する有益な取組みになるのではないかと考えました。

そして、中堅の職人さんをターゲットに経営視点で自己の作品とその工程や商流から自身の強みとなる知的資産を再定義し、生業として伝承していく道筋を掴む未来のワークショップを開催し、「ビジネス開拓の意欲醸成」を狙う方向性を定めました。
6月には、伝手を頼りに職人さんのお困り事や支援ニーズのヒアリングを実施しながら、支援先候補または窓口となる行政・支援機関、組合をリスト化して、コンタクト先を増やしていきました。7月には、チラシ(案)を基にアンケートや個別ヒアリング、東京都産業労働局商工部経営支援課との意見交換を行い、伝統工芸に対する支援実態への理解を深めました。
当初計画では、9月・10月頃にはワークショップを開催予定でしたが、8月上旬に東京で開催日を11月24日・25日と定めて、東京都以外の神奈川県、静岡県、石川県など約10地域に参加者を募る活動を進めました。受講料は無料ですが、交通費・宿泊費の負担感や秋の展示会に向けた多忙さもあり、集客は苦戦しました。一方、社会貢献事業の趣旨に理解を示していただき、行政機関や組合事務局の方々による告知のサポートが得られたのは、大きな助けとなりました。さらに、東京都から伝統工芸で勢いのある会社をご紹介いただき、そのヒアリング内容を事例としてコンテンツ内に組み込むことで、より職人さんの腑落ちしやすいよう工夫を凝らすことができました。多くの方々のご協力に支えていただきながらワークショップとしてのカタチを整え、開催日を迎えることができました。

【ワークショップチラシ】

そして、ワークショップ1.5日間の日程を終え、伝統工芸の分野でも知的資産経営は“商いの価値商流”として共感を得ることができました。これから有志メンバーで初回ワークショップの振り返り、参加者人数が増えた場合などの課題を整理し、地域活性化との連携も視野にどのように発展させるか検討予定です。ワークショップの詳しい内容や検討結果は、社会貢献事業活動事例集をご覧いただけますと幸いです。

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