1. HOME
  2. Members
  3. プロコン塾
  4. 第21期城西プロコン養成塾(JOPY)最終講義-事業承継支援と経営革新計画-

第21期城西プロコン養成塾(JOPY)最終講義-事業承継支援と経営革新計画-

城西支部 若藤 和尚

【1】事業承継支援における中小企業診断士の役割‐金子一徳講師(事業承継センター株式会社)‐
2025年12月20日の城西プロコン養成塾では、金子一徳講師による講演で、事業承継支援の最前線と中小企業診断士に求められる役割について講義が行われました。金子氏は自治体や金融機関と連携し、後継者の育成や事業承継計画策定を支援してきた実績を持つ講師です。
原価高騰や人口減少、後継者不足などにより廃業・M&Aが増加している昨今、事業承継支援は今後ますます重要な領域となります。もはや直系承継は当たり前ではなく従業員承継やM&Aなど他人承継では難易度は格段に上がること、法制度の変化により、「株式の暦年贈与」等の手法が必ずしも最適ではないことなど事業承継支援の複雑さを解説した後、正しい情報を伝え、経営者に気づきを与えることが責務であると述べられました。
事業承継では、従業員離職、メインバンク交替など、企業の根幹が揺ぐ変化が同時多発的に起こりえます。株式の承継だけでも相続や会社法、税法が複雑に絡み合います。ましてや事業全体の承継となるとますます複雑になり一筋縄ではいかないのが現実とのことでした。経営理念や顧客基盤などの知的資産が事業資産として活かされるように承継することが事業承継の本懐だと感じ入りました。
一般的に言われる「事業承継は10年かけて」では間に合わない、最長でも3年で集中的に取り組むべき、とのこと。事業価値の源泉分析、後継者選定、計画策定、後継者教育、社長交代までを一気通貫で進める必要がある、という実務に裏打ちされた提唱に深く頷きました。
経営者と後継者、会社と個人の間で、中立公正に利害を調整できる能力が求められ、制度、法律、経営、家族関係など様々なことが交錯する事業承継支援の深さに感じ入りました。

【2】経営革新計画支援の実際‐黒澤元国講師(埼玉県商工会議所連合会広域指導員)-
2025年城西プロコン養成塾最終講義は、黒澤元国講師による講演です。黒澤氏は創業支援から事業再生、補助金活用まで全国屈指の支援実績を持ち、経済産業省・中小企業庁の多数の委員会に参画するなど、中小企業政策の最前線で活躍する実務家です。商工会議所・商工会では一度は耳にするお名前ではないでしょうか。
前半は、経営革新計画について改めて整理しました。類型は新商品開発や新役務提供、新たな生産・販売方式の導入など、計画期間は3〜8年であること、承認要件として付加価値額や給与支給総額の伸び率が明確に求められる点など。また、計画には既存事業の改善も含まれることや、都道府県によって申請書類が異なることも実務上の重要な留意点です。
黒澤氏によれば、経営革新計画は「経営者自身がつくり、実行する計画」であり、企業診断とは根本的に異なるとのこと。支援する診断士はアイデアの押し付けではなく、現状分析を通じて「やるべきこと」を経営者と共に発見し、その中に新規性を見出すことが重要だと説きます。補助金や融資が目的ではなく、経営革新計画をあくまでその企業の成長の手段と位置づける姿勢は、今後の診断士活動の指針としたいと思います。
後半は事例紹介でした。酒類製造業の創業支援の事例からは、ノウハウ不足のリスク、アライアンスの重要性、地域資源を活かした高付加価値化など、創業支援の難しさと可能性が語られました。
最後の事例では、個社支援の積み重ねが街全体の活性化につながることを、複数の企業支援を通じて示されました。地域への愛情、共感力、構想力、実行力などを発揮することで、個々の事業者への支援が企業支援の枠を超えて地域全体の活性化に繋がっていく様子は圧巻でした。元気な企業を増やすことが地域の未来を変える―。診断士の醍醐味を感じた最終講義でした。

関連記事

アーカイブ