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【令和7年度社会貢献事業】気候変動・生物多様性経営研究会の2年目

脱炭素化への要請と中小企業支援の展開

城東支部 宮田 昌尚

気候変動・生物多様性経営研究会(CCBM研究会)は、2024年春に活動を開始した東京都中小企業診断士協会(以下、東京協会)認定の研究会です。我が国のカーボンニュートラルに向けて中小企業の取り組みが重要性を増す中、脱炭素化を支援する中小企業診断士を増やすことが必要であると考えて設立されました。あわせて、企業の環境対応において不可欠となる生物多様性の観点を取り入れています。東京協会の社会貢献事業として認定を受けている当研究会の今年度の活動について振り返り、進捗を報告します。

◆今年度の計画と実績

私たち研究会メンバーは、中小企業の脱炭素化への取り組みを促進するため、現状に照らして何をすべきかを意識し、定例会を軸にしつつ複数のプロジェクトを進めています。活動を大きく分けると、①最新の知見を吸収するインプットと②診断士や中小企業経営者などを対象とするアウトプットがあります。
①インプット
昨年度に続いて、定例会では外部の専門機関から情報提供を受ける機会を設けています。最新の社会状況の変化や制度変更などを理解するほか、行政機関の動向を把握して中小企業支援の方向性を知る必要があると考えています。生物多様性についてはインプットが中心となりますが、大手企業の動きも見据えながら情報アップデートをしていきます。
7月の定例会には、環境省地球温暖化対策課の脱炭素ビジネス推進室から佐野勇介様と山口明弘様にご参加いただき、脱炭素化に向けた状況を幅広く聞くことができました。大企業も中小企業も含めたバリューチェーン全体での脱炭素化に向けた現状を確認し、中小企業支援に特に求められることについて意見交換を行うことができました。
中小企業による脱炭素化経営の実例については、先進的な取り組みをしている伊藤金物株式会社の伊藤光昭社長から、生の声を聞かせてもらいました。環境配慮の経営によるメリットや国際認証取得での苦労話など、中小企業支援に向けて多くのヒントをいただきました。
会員による情報提供は随時行っていますが、特に、温室効果ガス排出量の算定が中小企業でも簡単にできるシステムについて、具体的なサービス内容を共有することもできました。11月の定例会には東京都中小企業団体中央会からご参加いただき、「エコアクション21」の制度について詳しく解説いただきました。

(画像:定例会の一コマ)

②アウトプット
昨年度、日本中小企業診断士協会連合会の調査・研究事業に採択され、「中小企業診断士のための脱炭素経営支援マニュアルの開発」という報告書を研究会の有志にてまとめました。年度末に完成した報告書をマニュアルとして、多くの中小企業診断士への普及を図っていくという狙いを持っています。今年度のアウトプットの基本は、マニュアルを活用した診断士向けのセミナーや、さらなる支援ツールの開発となります。
中小企業診断士に向けた具体策としては、「理論政策更新研修」の講師に当研究会から応募し、9月と12月に担当させてもらうことになりました。東京都中小企業診断士協会の運営する回の中で、脱炭素経営に向けた伴走支援の基本を多くの診断士に伝えていきたいと考えています。
事業者向けのアウトプットの機会としては、9月に宮崎県主催の「中小事業者向け脱炭素・省エネセミナー」の1コマをオンラインで担当しました。地域への足掛かりとして、今後も他地域への展開を期待しています。

◆今後の方向性

今年度の秋までの動きを中心に記載してきましたが、中小企業への直接アプローチについては、現在、準備を急いでいます。前述のマニュアルは中小企業診断士に向けたものであり、中小企業経営者に向けた対話ツールが必要になってきます。多くの情報が出回っている中で当研究会の知見とスキルを生かし、分かりやすいツールを開発すべく、リーフレットと小冊子の検討に入ったところです。
引き続き、会員の専門知識を共有することで相互に知見を高め合い、中小企業診断士への普及活動と事業者へのアウトリーチに力を入れてまいります。

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