城南プログラム「サービス業の海外進出支援」セミナー参加報告

城南支部 野口 紀彦
2026年2月16日に城南支部国際部主催で開催された城南プログラム「サービス業の海外進出支援」に参加いたしましたので、以下に報告いたします。

開催日時:2026年2月16日(月)19時-20時半
講師名:高橋 祐希 講師
テーマ: サービス業の海外進出支援
本セミナーは、海外進出支援に関心を持つ診断士を対象に、基礎知識の体系化と実務スキルの向上を目的として実施されたものであり、講師は、外食・小売分野を中心に10年以上にわたり、2,500社超の海外進出支援実績を有されている、高橋祐希氏にご登壇を頂き、とても網羅的で密度の濃い内容のご説明を頂きました。
講義ではまず、日本の中小サービス業が海外展開を目指す背景や、製造業の海外進出やモノの輸出とは本質的に異なる、サービス業の海外進出特有の課題が整理されました。サービスは無形性・同時性・不可分性といった特性を持ち、品質が人材に依存しやすいため、現地人材の採用・教育、オペレーション標準化、ブランド統制の仕組みづくりが成否を分けるとのご指摘は極めて実践的でした。
また、法規制・労務・税務・知財といった横断的な論点を、海外進出の検討初期段階から織り込んで考えておく重要性を、具体的な事例を通じて示して頂いたのが大変勉強になりました。成功事例よりは、撤退時に多額の費用が必要になった事例などの失敗事例を交えた解説が大変参考になり、安易な海外進出は危険であることが良く理解できました。さらには、進出形態(直営・FC・合弁など)の選択が、企業統制力と収益性を大きく左右することや、契約締結段階での条項設計が将来の紛争リスクを大きく左右することなど、支援者として押さえるべき視点を明確に説明されました。
総じて、国内における事業拡大とはレベルの違う検討事項が沢山あるため、進出国それぞれの現地事情に合わせたビジネスモデルや機関設計の最適化が非常に重要であるというメッセージは、強く心に残りました。
本セミナーの参加者アンケート結果でも、約90%の参加者が今後の診断士業務に大変役立つという高評価をされており、「講義満足度」も70%が最高評価、30%が次点の高評価となっており、参加者全員にとって極めて満足度の高い内容のセミナーとなりました。
今後に向けては、「海外進出における具体的な失敗事例集が欲しい」「業種別、地域別に深掘りしたセミナーを開いてほしい」「失敗しない契約の仕方を整理した資料があるとありがたい」といった、より実践的内容を求める声が多く見られたことからも本テーマに対する関心度の高さが伺えます。また、「JETROやJICAとの連携」「海外販路開拓の具体策」「先進国進出事例」など、診断士としての支援の幅を広げるテーマへの期待も示されており、関心地域では東南アジアが約7割と圧倒的であり、ASEAN支援ニーズの高さが明確になっています。
これらのアンケート結果から、本セミナーは中小企業診断士参加者の実務志向に応える充実した内容であったと評価されており、今後のセミナーにおいても、単なる制度説明ではなく、意思決定支援としてのリスクの可視化と戦略整理を、網羅的かつ事例をできるだけ多く盛り込んだ内容が求められています。
私個人の感想といたしましても、高橋氏のように特定分野において網羅的な知識と具体的な踏み込んだ事例を組み合わせたセミナーや助言ができるようになることが大切であることを改めて実感でき、今後の診断士活動に向けて大変勉強になりました。特に、特殊性の高い海外進出支援を支援対象分野としていくためには、今回ご講義頂いた内容を踏まえて、地域別、業種別にどこに専門性を深化させていくのか、をしっかりと考える必要がある、と強く認識できた有意義なセミナーとなりました。
