日本政策金融公庫の取り組み
中小企業施策研究会 9月度 例会報告
城南支部 吉江 慶一
中小企業施策研究会の9月度例会テーマは、「日本政策金融公庫の取り組み」でした。
日本政策金融公庫 国民生活事業本部 東京広域営業推進室 上席室長代理 佐藤氏を講師に迎えて、9月13日(火)にリモート開催で実施されました。
講演では8つのテーマに分けてわかりやすく説明いただきました。
➀「日本公庫の概要」については、株式会社日本政策金融公庫のプロフィールを説明いただき、国民生活事業の融資が119万先、980万円/件と、小口で多数の融資について小規模事業者を中心に行っていることも説明いただきました。
➁「コロナ禍における対応状況等」については、新型コロナウィルス感染症関連融資の状況を明示いただきました。また、民間金融機関との協調支援などを条件に利用ができ、金融機関の資産査定において自己資本とみなすことができる、「新型コロナ対策資本性劣後ローン」についてご説明いただきました。
➂「創業支援」については、創業者の状況として、6割が個人事業、法人においても「小さく始めて大きくする」ことが大切であること、創業に関する融資制度、平均的な貸出金額もご教示いただきました。
➃「事業承継支援」については、後継者難による廃業を防ぐため、事業承継・集約・活性化資金の融資制度、また、原則無料(専門家等の支援は除く)での事業承継マッチング支援にも取り組んでいます。
⑤「ソーシャルビジネス支援」について、民間金融機関から融資を受けにくい、社会的課題の解決を目的とする事業者への支援として、NPOの代表者保証が不要になる、「ソーシャルビジネス支援基金」の説明をいただきました。
⑥「融資審査のポイント」については、「ヒト」(代表者)、「もの」(4Pなど)、「カネ」(売上、利益、自己資本、借入金、貸付金・仮払金、その他)について、「着眼点」と「知りたいポイント」に分けて詳しく説明いただきました。審査ポイントについては、お聞きできるチャンスも少ないので、大変勉強になりました。
⑦「情報提供・広域ビジネスマッチング」については、財務診断、SWOT分析の各サービスや情報提供、専門化への取次ぎを行い、広域ビジネスマッチングでは、関東・関西の仕入業者と地方の売り手とのマッチングにより、仕入業者が輸入品から地方の国産への切り替えにより、円高によるコストアップを解決した例も紹介いただきました。
⑧「融資のお申込み手続き」については、コロナ禍において、インターネット申し込みが主体で、手続きが便利で早くなっていることを説明いただきました。
講演後、質問に対して丁寧に回答いただきました。「コロナ融資の返済状況」については、利息が発生する前に返済している企業と、返済が困難な企業の2極化が起こっていること、返済困難な場合には、借り換えが多く、条件変更も行っていること。「融資制度の選択」については、基本的に金利の安いものを勧めること。「一度融資を断られたときの対応」として、融資不可の理由説明が必ずあるので、その対応ができていれば新たに融資が得られる可能性があること。技術開発系事業者等の場合、技術的に優れていても、事業計画が十分でない場合も多く、中小企業診断士等の専門家の支援があれば、融資審査に安心感があること。融資前の相談窓口として、「ビジネスサポートプラザ」も活用できることもご教示いただきました。今回のご講演は、内容が具体的、実践的で、中小企業診断士として知識充実の機会となりました。