第18期城南コンサル塾 実務実習に参加して
城南支部
加藤 裕之
城南コンサル塾の同期6名で、宇野俊郎指導員、上野洋一郎副指導員のもと昨年の8月5日から12月2日まで行われた実務実習に参加しました。実習先は、伝統のある和菓子店です。今回の実習は、2カ月かけて事業調査報告をまとめ、更に2カ月をかけて経営改善計画の策定を行う長丁場で行われ、実践的な経験を積むことができました。
実習初日は、午前中に社長インタビューと工場視察を行い、午後は見聞きした内容に基づき、まずロジックツリーを活発な議論を通じて実習生全員でまとめました。前月の城南コンサル塾で学んだことを早速活用する機会が訪れましたが、原因追究のロジックツリーに解決方法も記載していたり、その後行ったSWOT分析でも4Pの観点でしかアプローチできていないことに、「もっと網羅的な分析が必要。城南コンサル塾で教えたことが実践されていない」と、宇野指導員より耳に痛くも的確な助言をいただき、実習生全員で改めて気を引き締めてのスタートとなりました。
その後、「実習先に現在置かれている厳しい状況を正しく認識してもらうために、現状分析をしっかりと行うこと」という宇野指導員からの与件のもと、6名のメンバーそれぞれが担当パートの現状分析を進め、私は外部環境分析を行いました。外部環境分析は5フォースに基づき行いましたが、中小企業はミクロな外部環境要因の方が経営に影響を与えることが多く、5フォースで機会と脅威を把握することで適切な分析が行いやすくなる、ということもその場で学びました。また、窮境要因という言葉も今回の実習で初めて耳にしました。過剰債務・収益性悪化の真因のことで、この窮境要因の特定がその後の経営改善の成否につながるため、実習生全員で真剣に議論を重ねて絞り込みを行いました。
迎えた事業調査報告日。厳しい現状に改めて向き合っていただき、今後の経営改善につなげることを意図して各自パートの報告を行いましたが、窮境要因をしっかりとお伝えしようとしたことから、報告時間は予定の2時間を超えるものとなってしまいました。当日社長は別件のご予定があったことから、予定時間を過ぎたところで途中退席となりましたが、結果として残られた次期経営者となる社長の長男と会社の将来像について議論を深めることができ、長男の自覚・意識の向上につながったことは、今後の事業承継を考慮すると良かったと考えています。また、その後も実習先とは十分なコミュニケーションを図りながら経営改善計画の策定を行ったことにより、最終日の経営改善計画の報告時は意見交換を行いながらも、提言させていただいた内容には基本的に理解・賛同をいただき、経営改善への第一歩を踏み出すことができました。
今回の実務実習を通じ、城南コンサル塾の座学で学んだことを、実践の場で活用することで理解が深まり、身についていくことを改めて感じました。特につい改善策に走りがちなところを、まず現状分析をしっかり行うことの大切さを実感できたのは、今後の診断士活動において非常に有効だったと感じています。4カ月間という長い期間をご指導いただいた宇野指導員、上野副指導員に実習生一同より厚く御礼申し上げます。また、今回の実習は長丁場だったこともあり、実習メンバーとより強固な絆が築かれました。この関係を大切にこれからも共に学び続け、高め合っていきたいと思います。