三多摩支部 TAMA活性化支援グループ 第109回経営オープンセミナー
三多摩支部 阿部令一
第1部「経営革新等認定支援機関 第2弾」
第2部「脱炭素経営と企業支援」
TAMA活性化支援グループは、3月19日(火)にオンラインで第109回経営オープンセミナーを開催しました。講師は当グループの細谷和丈会長と(一社)東京環境経営研究所の事業管理部長に就いている河西崇様でした。
第1部 「経営革新等認定支援機関 第2弾」経営革新をやる、やれる認定支援機関を目指して
昭和38年の中小企業支援法によって中小企業診断士が創設されたが、法律には中小企業診断士の名称はなく専任業務もない。平成24年に施行された「中小企業経営力強化支援法」によって、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されたことから、講師は第2号認定を受けて中小業の支援にあたってこられた。
5年毎の資格更新に際して、中小企業診断士に対しては制度創設当初の厳しい専門知識に係る認定要件が緩和されたことを説明され、国の補助金などで期待される役割などについて、自身の経験をひきながら生々しい説明があった。経営者の意識改革を促し、生産工程やビジネスモデルの再構築にまで踏み込んだ経営改善一体型の支援を行うべきだと説かれ、まとめとして、中小企業診断士としてチャレンジしてほしいこと、学びなおし(reskilling)、経営革新等認定支援機関間の連携を図るべきことが力説された。
第2部「脱炭素経営と企業支援」
冒頭に本講の目的として3つのゴールが設定された。すなわち①SDGsとカーボンニュートラルの共通点と違いを理解すること、②カーボンニュートラルを取り巻く基本的な事項を理解すること、③中小企業診断士として脱炭素経営の支援の進め方を理解すること、の3点である。
SDGsは2015年に国連において採択された『持続可能な開発目標』であり、2030年を目途とする17のゴールと169のターゲットがある。達成をマストとするものではなく、国際イニシァチブである。国際イニシァチブにはESGもあり、環境ビジネスの将来性の高さから注目されている。
カーボンニュートラルは温暖化ガスの排出量が吸収量に等しくなる状態であり、温暖化ガスの中で割合が最も高い二酸化炭素(CO2)が引合いに出されることが多い。SDGsの17の目標のうち、『7エネルギーをみんなにそしてクリーンに』と『13気候変動に具体的な対策を』と関係が深い。2007年にノルウェーが国家目標として以来、125ヵ国・1地域で、2050年を達成目標にロードマップが定められている。
サプライチェーン全体にわたって排出量をカウントすることの必要性、直接排出量(Scope1)と間接排出量(Scope2)、サプライチェーンの中の他の原料採掘や交通・運輸などによる排出(Scope3)の3つのScopeに分けて排出量をカウントすることが解説された。最後は本日のゴールに即して、自宅や支援先企業における排出量の算定手法(活動量×排出原単位)について学ぶことができた。
その後の質疑では、排出量の把握の先には削減に向けた活動が求められると考えられるが、行政からの指導という経路をたどるのかとの質問や、排出権取引に関する質問があった。また、経営革新等支援機関の認定要件に関する質問があり、会場から中小企業診断士の資格を有し、中小企業大学校の2日間の実績研修を受講して、1年間の確定申告書があれば認定される、ということが紹介された。