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商店街研究会1月定例会報告
東大泉商栄会(ゆめーてる商店街)の活動について

城西支部 本間義隆

1月の商店街研究会は、練馬区大泉学園駅の北側に位置する妙延寺ゆうわ会館にて、東大泉商栄会
(ゆめーてる商店街)の事務局でDX推進を進めておられる阿部耕樹様のご説明を軸に、眞木寛治会長、中田信也会計部副部長、廣江智美事業部長のコアメンバーに補足いただく形で進められた。

数日後に商店街の新年会にて2024年の活動報告を行う予定とのことで、報告会用に準備したスライドを元に年間の活動を振り返る形でご説明していただいたのだが、その活動内容の多彩さ、濃厚さ、斬新さに圧倒された。他の商店街を支援している診断士から質問が数多く飛び、活気に溢れた場となった。

まず初めに説明があったのは、昨年(2024年)開始した練馬区の「空き店舗活用商店街支援事業」についてであった。これは、商店街への出店を考えている事業者が事業計画を作成し、練馬区と商店街から数名の審査員を前にプレゼンを行った上で採択される事業者を決定するというもので、その商店街への加入と加入後の貢献へのコミットが条件となっている。商店街にとっては、空き店舗を減らすと同時に加盟者を増やすことができるというメリットに加え、認知度の向上も期待できる。また、事業者にとっては、回転経費支援金100万円、店舗改修費上限100万円、店舗賃借料月額上限5万円という手厚い支援を受けることができるというWin-Winの施策である。眞木会長から「商店街振興に手厚い」と評価の高い練馬区ならではの地域活性化支援とのことで、昨年は2事業者が採択され同商店街へ加入することになった。当事業は、本年(2025年)も行う予定とのことである。

継続事業にも魅力的な取り組みが多い。第18回(2023年)東京都商店街グランプリで優秀賞となった「でぃっぷ1ぐらんぷり」。これは、「アニメプロジェクトin大泉」イベントにおいて、参加会員店舗がフライドポテトのオリジナルソース(ディップソース)を開発し、地域の人々に投票してもらうというイベント企画。2024年は、コッペパンとライ麦パンにつけるディップソースの開発を14の会員店舗が参加して5月に開催された。「ぐらんぷり」などの各賞受賞店舗には、漫画家のちばてつや先生デザインの色紙が贈呈される。
8月には盆踊りイベント「銀河の夜の盆踊り大会」を2日間開催。来場者には、商店街のキャラクターで松本零士先生デザインの「ゆめーてるちゃん」をあしらったうちわが各日2,000枚の数量限定で配られる。このうちわをもって対象期間中に会員店舗で提示すると、割引などの特典が受けられるというもの。ステージでは、盆踊り以外にも各種の演目を構成していて飽きさせない工夫があり、銀河をイメージしたやぐらのイルミネーションで「映え」を提供している、万人単位での来場者があるイベントだ。盆踊りという地域行事を商店街が中心となって運営していること自体に驚きを隠せないが、屋台店舗をすべて商店街の会員店舗で固めて実施しているという点も非常に画期的である。
これらの事業に共通していることは、地域の人達ににぎわいを呼ぶ大きなイベントを企画提供して街を活性化しようという意気込みと、その意気込みを支える者との良好な関係。たとえば、場の提供者である妙延寺であり、社会に参画する経験を通じてイベントを下支えする地元の中高生ボランティアであり、漫画・アニメを使った街の活性化に協力的な東映(※アニメーションミュージアムが商店街圏内に在る)である。

一般的な商店街では定番の、「会員店数をいかに維持拡大するか」という課題に対して、最近では、会費に見合った商店街活動の意義を認識してもらえずに、組織未加入の店舗が増えつつあるのが実態である。しかしながら、同商店街の場合は、商店街に加入することで、これらのイベントにも参画できるということが大きなメリットと捉えられており、むしろ事業者側から積極的な加入申し入れがあるとのこと。
「SNS活用による集客」も多くの商店街が課題とするところである。これはひとえに、デジタル・リテラシーをもつ人材が居るかどうかで決まるというのが実情で、多くの商店街はその人材不足によって活動を進められていないのだが、同商店街では、広告にSNSを使ってエリア限定のものを発信していることに始まり、複数のSNSを使いこなした発信の質量ともに充実している。会員間のコミュニケーションや情報共有、会費回収に至るまで、デジタル化を推進させており、デジタル活用についても模範的な活動内容である。

一通り説明が終わった後も商店街研究会メンバーへ、「他の商店街の事例で参考になる取り組みを教えて欲しい」との問いかけがあった。その一言には、自分達のやってきている活動への「自信」と「誇り」、それから貪欲な「学習意欲」とが込められている気がした。本日説明いただいた商店街のコアメンバー達は、純粋に「商店街をより良くしたい」「そのことを通じて地域を活性化していきたい」との思いで、それが実現していくことに達成感を得ながら、楽しく革新的な取り組みを実行している。法人格を持たない商店会組織であることさえ活用して、出来ることを実行していくその飽くなき前向きさに、新しい商店街運営の形を感じた。

以上

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