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【特集】中小企業の身近な国際化相談 ~国際派中小企業診断士による身近な国際化の進め方~

ワールドビジネス研究会 酒向 敦

  1. ツール開発のコンセプト

(1) ツールの名称: 中小企業の身近な国際化相談

(2) 活用領域・目的: 中小企業は、海外に展開する輸出・拠点進出ビジネスや国内では外国人旅行客を対象とする観光インバウンド、国内外に必須の異文化理解に活用できる。

(3) ツールの利点・成果: 国際ビジネスに関わる幅広い領域のテーマをOne Stopで、中小企業診断士は国際ビジネス情報入手が、企業様は直接、国際化の相談ができる。

  1. 活動内容・ツール開発の経緯

2020年3月より、新型コロナウイルス感染症による移動制限によりリアルの会議からZoomなどオンラインツールを活用した「リアルの会議室」にとらわれない打合せ方法が主流となった。ワールドビジネス研究会の活動もオンラインが中心となり、東京都中小企業診断士協会員以外の「外部専門家」の協力参加が容易となり、幅広い領域の専門性と経験を持った人々が集うようになった。 また 中小企業様にオンラインの打合せにご参加いただき、直接ヒアリングする事や参加したメンバーからアドバイスをする事が容易に出来るようになり、よりテーマごとの研究と企業との直接のコンタクトを求めて複数の分科会が立ち上がった。

3. ワールドビジネス研究会 (WBS) の現状

WBS会員は140名(2022年12月末)が在籍している。また、WBSの活動以外にもオープンイベントを適宜開催し、外部協力メンバーとのネットワークの拡大に力を入れている。その結果、外国在住診断士を含む協会員以外の診断士、他士業の専門家などを中心に、約100名の方々に外部専門家としてWBS活動にご協力いただける体制になっている。このような外部専門家の知見も借りながら、(1)定例会、(2)分科会を活動の柱とした活動を行っている。(3)東京都中小企業診断士協会の社会貢献事業として、セミナー・討論会や無料相談会を実施して業界団体・民間企業様を支援できるようになってきた。

(1) 定例会(毎月第3木曜日開催)

研究会発足時より継続している定例会を、現在はリアルとZoomのハイブリッド形式で開催中。①外部講師や会員による講演会の実施、②テーマを設定し会員間でのディスカッションの実施、を継続しており、2022年12月の開催で164回目となる。

(2) 分科会

2021年に、新たに複数の分科会をスタートさせ、次の表のとおり現在8分科会がそれぞれ活動を進めている。分科会活動では、外部専門家のみならず企業様にもコンタクトして直接コミュニケーションをとることが増えており、活動内容が実践的になっている。

(3) 社会貢献事業PJ

2021年度 『社会貢献事業活動』では、計6回の『身近な国際化』をキーワードとしてWebセミナーを実施し、併せて企業への無料個別経営相談会も実施した。延べ500人の参加者があり、WBSの活動が事業者の方々にも知られるようになってきた。

取り上げた内容は、『国際派診断士の強みを生かして、地域の団体・コミュニティの中小企業に身近なところからの国際化への取り組みを支援する。』を共通テーマとし、以下のテーマを取り上げた。

なお、下記の支援機関にご後援いただき、連携も強化された。

2022年度は下記の企画で社会貢献事業を実施し、支援機関、中小事業者様との繋がりを強めていった。

4. 診断・支援につながる仕組みの構築

(1) 国際派中小企業診断士へのプラットフォームの提供

会員は、①情報を得るため、②国際化への知識を得るため、③国際派診断士のネットワークをビジネスに活用するため、とそれぞれ  の目的をもって参加されている。

国際化ビジネスに関心のある協会会員がそれぞれにもっている多様な要望に応える努力を続けていくことで、会員の更なる拡大を図っていく。また、コロナ禍でオンライン会議が普及したことで、海外を含めて東京圏以外の地域の方々とのコミュニケーションが普通にとれるようになった。WBSは、新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた2020年の春から、手探りでのオンライン研究会を開催し、オンライン開催要領のスキルを高め魅力ある研究機会の提供をしてきた。その結果、会員数が増え、 外部協力メンバーの方々を組織化して200名を超える専門家を擁した集団となった。WBSメンバーに加えて、外部専門家の知見も活用して、中小企業支援者、中小事業者の国際ビジネスの課題解決に広く対応できる仕組みを作ることができたのは、大きな成果であると自負している。WBSは、研究の場としてだけでなく、ビジネスにつながるプラットフォームとしてより多くの協会会員に活用して頂きたいと考えている。

(2) 中小企業支援のユニット(ツール)としての分科会の活性化

分科会活動では、中小企業と直接コミュニケーションをとる機会が多くなっている。特に、食品分科会、越境EC分科会、観光インバウンド分科会は、メンバーの支援能力向上のため、成功している事業者や課題を抱えている事業者をオンラインの分科会会議にお招きし、ディスカッションを行い、課題解決に向けてのさまざまな提案を行っている。また、専門性を活かし、コンサルティング会社などの行う調査に協力するなど、会員のビジネスにつながる活動を行っている。

(3) 海外展開支援知識体系の活用

WBSは中小企業診断協会より東京協会が受託した「中小企業の海外展開支援業務と知識体系(以下、知識体系)」を2017年に執筆しツールとして完成させた。

その後、WBSでは、海外展開支援研修分科会の活動や、東京協会国際部の活動への協力を通して、実行性を高めてきている。なお、「知識体系」については、中小企業診断協会から見直しの依頼からあり、6年ぶりに改訂版を納品した。新型コロナウイルスによる経済活動の規制・パンデミックや越境ECなど時代に合わせた内容に更新した。

  1. 開発ツールのポイント

国際ビジネスを進めるうえでは、様々な調査をして基本的な事項を確認したうえで企業の目標に応じた支援、アドバイスできることが重要なポイントとなる。漏れなく効率よく進めるうえで、【知識体系】の活用は欠かせない。その体系を元に運営されている研修事業分科会の  『中小企業海外展開支援講座』に受講した修了生の多くが、各分科会には所属している。分科会はオンラインなので、ご参加いただく企業様との都合に合わせ日程調整し打合せが進められている。つまり企業の所在地にも問わない成果に繋がると考えられる。

  1. 定量・定性的な効果

研修事業分科会の講座は、先日第3期が終了し、現在までに50名を超える修了生がいる。

講師・運営に関わったWBSメンバーが30人を超え、【知識体系】を基本とした 企業支援ができる診断士が80人に達した。多くの人は、分科会活動などに所属してアクティプに参加している。 現在、食品分科会、越境EC分科会、観光・インバウンド分科会では、定期的に企業様をオンラインの打合せに招待し、延べ10社の企業様にご参加いただき、情報提供をしてもらい、そのうえでご助言をさせて頂いている。

7. 今後の予定

現時点では、WBSとして(又はメンバー個人として) 企業との顧問契約を結ぶ案件は出てきていないが、近い将来、具体的な支援をする案件が出てくると思われるので、WBSとしては、

①国際派中小企業診断士にとって有効なプラットフォームとしての価値向上を図る。

・第4期 『中小企業海外展開支援講座』 WBMが2023年6月より開始される予定で、「中小企業の海外展開支援業務と知識体系」の活用方法を理解した国際派診断士の育成が期待される。

https://rmc-tokyo-wbm.jimdofree.com/

 

②新たに出てくる国際ビジネスに関連するテーマを新しい分科会やプロジェクトを立上げる。

③我々国際派中小企業診断士の存在や活用価値を企業様に知ってもらう。

・社会貢献事業PJやオープンセミナー・イベントを通じて情報発信に努めていきたいと考えている。                                           以上

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