流通問題研究会オープンセミナー「JリーグFC今治経営を通した地方創生」開催報告~元日本代表監督 岡田武史会長と二人三脚で目指すもの~
城西支部
津吹 祐輔
流通問題研究会は2月4日(土)に、サッカーJ3のFC今治を運営する株式会社 今治.夢スポーツ 代表取締役の矢野 将文氏をお迎えして、オンライン形式でオープンセミナーを開催、54名に参加していただきました。
FC今治は、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏が、今治でゼロから立ち上げたサッカークラブです。研究会の園田愛一郎会員と岡田氏に学生時代のサッカーを通じたご縁があり今回のセミナーに繋がりました。矢野社長は2014年に岡田氏がFC今治オーナーに就任した直後から、参謀役として企業運営に携わってこられました。矢野社長から、スポーツクラブの経営だけでなく、心の豊かさを理念とした地方創生や新しい社会創りのお話を伺いました。 以下にその概要を記載します。
(1)サッカーにとどまらない事業
今治にある自然や温かい人々を活かした事業として、しまなみ野外学校やBCU(Bari Challenge University)を行っている。参加者は仲間や自然と向き合ううちに、今治に対しても強い愛着を持っていただく機会ともなっている。
(2)パートナーシップ
FC今治の経営理念や取組に共感いただきご支援いただけるスポンサーのことを、共に創り上げていく意味を込めてパートナーと呼んでいる。
(3)里山スタジアム
J2以上の昇格要件を満たすなど成長戦略における必要性はもちろん、ビジョン実現のための”新しい公共の場”と位置付けている。心の拠り所として365日人が集う場所。心の豊かさを取り戻す場所、街のシンボルといったキーワードを掲げている。
(4)建設の奇跡
建設資金40億円の調達にあたっては、2020年のコロナが最も厳しかった時期に重なり、大変苦労した。里山スタジアムの理念を今治だけでなく東京でも語って、さまざまな方からご支援をいただいた。 共感を生み出す存在であり続ける哲学(非財務資本)が受け入れられ、財務資本に転換できたのだと考えている。
(5)フットボールビジネス
岡田メソッド®(日本人が世界で勝つための指導方法論を整理し、サッカーを言語化したもの)を活用して指導者養成とチーム強化を行っている。
(6)立ち返る場所
〇企業理念
・次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する
〇ミッションステートメント
・社員に始まり、より多くの人達に夢と勇気と希望、そして感動と笑顔をもたらし続けます
・多様な人が集まり、活気ある街づくりに貢献します
・世界のスポーツ仲間との交流を深め、世界平和に貢献します
・地球環境に配慮して事業活動を行います
大変熱のこもった講演で、事業を展開する経営陣、社員の情熱が目に見えるようでした。私は、すべての取組のベースとなる理念を言語化して定めているところに特徴があると感じました。まさに立ち返る場所であり、これを拠り所として事業を進め、パートナーがそれに共感する好循環が生まれます。言語化にかなり知恵を絞られたのだと思います。大変実りあるセミナーとなりました。