商店街研究会1月例会
現代版駄菓子屋富田商店と晴見町商店街の視察
現代版駄菓子屋が商店街を活性化する
中央支部 鈴木文彦
2024年1月20日、商店街研究会の月例会として現代版駄菓子屋富田商店と晴見町商店街を視察しました。JR北府中駅前で、鈴木隆男会長を含む13人のメンバーが14時半に集合しました。小雨が舞うなか、現代版駄菓子屋「富田商店」の店主である富田良治(とみた よしはる)会員の案内のもと、晴見町商店街を視察しました。途中で、富田商店に立ち寄り店内を見学しました。その後、晴見町公会堂で富田会員の講義「現代版駄菓子屋が商店街を活性化する」を聴講しました。
1.晴見町商店街
府中街道の横断歩道を北府中駅から渡った向こう側を西端とする“ワ”の字型の商店街です。もっとも府中街道、府中刑務所の南に面する東西路(美術館通り)に面する区間は店が点在しほとんど住宅街と一体化しています。メインは府中街道の約500m東側に並走する南北の通り約300mの区間です(写真)。通りにはインターロッキング舗装が施され、ファザードの看板が統一的なデザインになっています。月をイメージした街路灯とともに1996年3月に完成しました。
通りを歩くと、生鮮3品のうち精肉店、青果店が1店舗ずつ残る一方、シャッターを閉めたままの店も少なくないことに気がつきます。説明によれば、2021年以降13店閉店が相次いだのは、コロナ渦の影響というよりは、団塊世代の店主が70歳代後半になり体力面の不安を抱えるようになったことが背景にあります。衰勢にあらがえず、2022年12月には商店街振興組合の解散を余儀なくされました。現在は任意団体です。講師は、今後10年以内に商業集積自体が消滅するのではないかとの危機感を持ちます。商店街の課題として、①バブルのときはよかった、②商店街の活性化は人頼み、③日曜祝日はほとんどの店が休み、④キャッシュレス決済が使える店は皆無、⑤空き店舗があっても貸さない、の5点が指摘されました。空き店舗があっても貸さないのは、2階の賃貸住宅収入で生活費を賄えているからです。1階に飲食店が入居すると煙等が2階の住環境に影響をおよぼすという事情もあります。
地方都市のシャッター商店街と異なり、商圏人口に不足はありません。商店街の西側はUR府中グリーンハイツ11棟その他からなる集合住宅街になっています。商店街の個店が減少している現状には周辺住民も不便を感じています。
2.現代版駄菓子屋「富田商店」
商店街の一角に、現代版駄菓子屋「富田商店」があります(写真)。2022年10月の開店で、中には、昔ながらの駄菓子コーナーに総菜冷凍自販機があります。入り口には巨大なガチャポンがあり人目を引きます。2階の1室を商品倉庫、80年代の子ども部屋を再現したプレイルームに使っています。
駄菓子屋は必ずしも単体で儲けようとするものではありません。商店街の集客拠点を作るとともに、駄菓子屋を起点にさまざまなビジネス展開を図ることも狙いです。その1つにチャレンジショップの取り組みがあります。昨年契約した空き店舗を拠点に、レンタルショーケース販売とECを組み合わせたビジネスを始める予定です。商店街の不動産事業者との提携のもと、富田商店のオーナーの本業である創業支援を組み合わせ、晴見町商店街の空き店舗に新規創業者をマッチングする構想を描いています。