中小企業施策研究会1月例会
「信用保証業務勉強会」
城東支部 小川 良佳
1月9日に開催された例会では、東京信用保証協会の経営支援部経営支援課長の掛札峰雄氏と経営支援課課長代理の草壁大輔氏をお招きして信用保証業務に関する勉強会を行った。
信用保証業務に関する現状と最新の制度について講演をいただいた。講演後の質疑応答、意見交換では、金融機関に勤務する会員、実務上で事業者の課題に直面している会員からの具体的な質問があり、活発なやりとりがあった。要点は以下の通り。
- 信用保証制度の種類、利用の要件
- 信用保証制度には、全国統一の制度、都の制度、区市町の制度の大きく3分類がある。
- 保証審査では、保証資格、資金使途、返済能力、経営者、企業の特徴、プロパーの支援状況などを信用力として審査する。
- 制度の利用には、企業規模(資本金、従業員数)、許認可(営業に必要な場合)、所在地などの要件があり、また外国人に対する保証、その他の留意点について説明を受ける。
- ニーズ別保証制度
- コロナ、ウクライナ、円安、エネルギーなどに対応する制度、金融機関の伴走支援制度、小規模事業者向けの小口制度、SDGs推進応援制度、創業、事業承継に関する制度等々があり説明を受ける。
- 事業承継に関しては、事業承継一般、事業承継経営者保証不要型(承継の時期、財務上の要件は有)、事業承継個人型(都道府県知事の認定)といった課題別の数種類のメニューがある。
- 金融機関の伴走支援を活用する場合、経営行動計画書(ロカベン:企業の経営状況の診断書)の提出が必要となる。
- 小口の都の資金も数種類もあり利用頻度が高い。
- 借入口数を一本化したいといった希望、各種相談も対応可能となっている。
- 都の保証料補助と区市町の利子補給を併用できる場合もある。利子補給、保証料補助のある都、区市町制度の利用も可能、申込みに時間を要するケースもあり、考慮して申請する。
- 経営者保証改革
- 国の経営者保証改革に沿って、経営者保証のない制度(金融機関連携型、財務要件型など)もあり、創業時、事業承継時にも経営者保証を不要とする制度も創設されている。
- 事業者は、既存の経営者保証に関する相談を受けることができる。
- 経営支援
- 企業サポート推進プロジェクトとは、中小企業診断士、税理士などの専門家を無料で派遣する制度であり、中小企業者の持つ課題に合わせ3~5回の専門家派遣を受けることができる。
- 経営サポート会議とは、信用保証協会が事務局となって開催されるバンクミーティングのことで、経営改善に積極的に取り組む事業者と取引金融機関とが一堂に会し、経営改善計画などの情報共有や意見交換を行う場である。経営者が強い改善意欲を持っている場合やいずれかの取引金融機関の支援が見込める場合などに利用できる。
- 東京応援パッケージとは「企業サポート推進プロジェクト」の計画策定支援と「経営サポート会議」をパッケージにした支援策となる。
- 中小企業応援パッケージ(国の支援の方向性)
- 経営改善フェーズにおける経営支援改善の強化、経営者保証改革の促進(経営者保証不要時の時限的な保証料の負担軽減策)、金融機関が経営者保証を徴求する手続きに対する監督強化、再チャレンジ支援としての求償権消滅保証の運用改善などが実施される。