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中小企業診断士による社会貢献事業(ソーシャルビジネス研究会)について
思いを実現する「こども食堂」運営への基盤強化セミナー

三多摩支部 西川雅明

いま全国のこども食堂が急拡大しています。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下「むすびえ」)が2023年12月に発表したところによると箇所数9,131件、全国の公立中学校数とほぼ並ぶ数になりました。こども食堂とは、こどもひとりでも行くことができる無料または低額の食堂で、開催頻度、参加人数、運営主体は様々です。地域に暮らす誰もが参加できる「こども食堂」は、人と人との繫がりを復活させ、持続可能な地域社会を発展させる有効なインフラとなりつつあります。

ソーシャルビジネス研究会では2023年度、プロジェクトチームを組成し、「こども食堂」の運営が強化され継続できるよう「基盤強化セミナー」(4テーマ)を実施しました。地域の人たちが、繫がりを求めて自発的に立ちあげる「こども食堂」は、強い思いを持ちながらも、資金や人材不足など経営基盤が弱い団体が多くあります。そうした団体に対して、診断士が得意とする分野で知識やノウハウを提供することは大いに役立つと考えられたからです。

具体的なテーマは、①やりたいことを実現する「計画精緻化」(講師:下村博史)、②めざす世界を明確にする「ビジョン・ミッション明確化」(講師:盛田里香)、③助成金を得るための「資金調達・情報発信」(講師:小泉亮太)、④安心できる体制を作る「ガバナンス」(講師:西川雅明)でした。プロジェクトに応募した診断士が各テーマを分担しました。

 

実施にあたっては「むすびえ」と協働体制をとりました。こども食堂のネットワークをもつ「むすびえ」が受講希望団体を募集したところ、全国9団体から応募がありました。応募団体に対して、むすびえメンバーが現地に出向き、具体的な課題を丁寧にヒアリングしました。そして、その情報を担当診断士に伝え、擦りあわせながらコンテンツ設計する方法をとりました。

 

セミナー形式をとりつつも、可能な限り現場ニーズに寄りそう形を目指しました。セミナー本番は、診断士とむすびえメンバーが協力しながらオンラインで実施しました。

事後に受講者から取得したアンケートでは「次に何をしたら良いかが明確になった」「未来を確認して対話を進めたい」といったコメントが寄せられました。一定の成果があったと考えています。
また、むすびえメンバーからは「分かりやすくまとめられていて勉強になった」「組織運営の基本を伝えるだけでも価値があると感じた」との感想が寄せられました。
参加した診断士にとっては、平易な言葉で組織運営を伝える難しさを感じるとともに、伝わったときの充実感を経験できました。地域で活動する人たちの思いの実現に向けて、診断士が得意分野で支援できた経験は、非営利団体支援の入門編として有益だったと考えています。

今後の活動としては、今回得た経験を基盤としながら、バージョンアップを図っていく方向です。
診断士による多様な社会貢献団体への伴走支援力を一層高めていきたいと考えています。

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