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2024年3月オープンセミナー「インドネシアビジネスの最前線~日系企業の現在地と展望」

城南支部 髙田 浩一郎

2024年3月2日(土)、城南オープン国際セミナーが開催されました。テーマは「インドネシアについて」で、お二方の講師による2部構成でした。
インドネシアは急速に発展する東南アジアの中でも特に重要なマーケットで、世界第4位の人口2億7千万人を擁し、平均年齢が低く労働人口も多いことから、今後も安定した成長が期待されています。すでに多くの日本企業が進出し、シェアを拡大してきましたが、近年では韓国・中国企業の攻勢や価格競争の激化など、市場に大きな変化が起きている国です。
第1部は、「インドネシアの近況と政治経済・進出時のリスク」のテーマにて、城南支部国際部の部員でもある金子啓達会員(海外進出アドバイザー)が講演されました。金子会員は中小企業診断士として独立する以前に三井銀行にて海外進出支援に多数従事すると共に、GSユアサインドネシア現地法人社長をはじめ海外現地法人社長を歴任した豊富な国際経験をお持ちであり、実際の経験に基づく実践的なお話をお聞きすることができました。

【講師の金子会員】

金子会員の講演は、インドネシアの戦後史や人口推移・年齢別構成などの社会情報、予想名目GDP、2024年の大統領選、進出日系企業のインドネシア評価の変化やビジネスリスク、そして2045年の中央政府移転構想など、マクロからミクロ、そして過去から未来まで、あらゆる切り口からのインドネシアについてのお話でした。インドネシアに長く駐在されていたこともあり特に現地事情については深く踏み込んだお話を聞くことができました。

第2部は、「新生化学工業の適当が最適経営~中小企業から見える社会~」のテーマにて、インドネシアに現地法人を持つ新生化学工業株式会社の宮田陽一氏にZoomでご登壇いただきました。宮田氏は、1997年 アメリカ・ジョージア州に子会社を設立しその子会社の社長に就任、2005年に新生化学工業株式会社の代表取締役に就任後、2007年にはタイに子会社を、2012年にはインドネシアに子会社を設立するというように積極的に海外進出を展開してきた経験をお持ちです。

【講師の宮田氏】

宮田氏のお話は創業者の息子という2世社長の大変さや、中国古典の帝王学の一つ「貞観政要(唐の玄宗皇帝の統治の基本原則をまとめた政治指針書で、国家の安定と繁栄を追求するための重要な教訓)のお話や、アメリカ・タイ・インドネシアでの子会社設立と設立後の色々なお話をいただきました。多くの海外子会社設立経験を通して得た、「日本企業が海外進出する際のポイントは “進出先を真剣に調べてから行く” “顧客を持ってから進出する” “海外は市場ではなく親日かどうかが第一”」というお話は、実際の経験に基づく非常に説得力あるお話でした。
また、一般論では知り得ない、経営の最前線でのご経験を、非常にテンポよく語っていただき、時間が経つのを忘れてしまうほど聞き入ってしまう講演でした。
当日はリアルの開催で、会場には多くの方にご参集いただきました。東南アジア市場というとベトナムやカンボジアの方に話題が傾きがちですが、面積の大きさ、人口の多さ、そして親日国家であることなど、インドネシアは海外進出のターゲット市場として目が離せない市場であることを改めて認識することができた貴重な講演で、3時間という時間はあっという間に過ぎてしまいました。
特に宮田氏の長年の経験に裏打ちされた「海外は市場ではなく親日かどうかが第一だ」というお話は、世界情勢が不安定な昨今、海外進出を目指す事業者様を伴走支援させていただく際の重要な方向性の一つであると感じました。

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