中小企業診断士による社会貢献事業(知的資産経営研究会)について
地域と担い手の交点 南越前町(福井県)の取組み
城東支部 知的資産経営研究会 社会貢献事業PJチーム
知的資産経営研究会は、財務諸表には表れにくい中小企業の強みである知的資産を活かすための支援を行っています。当研究会では、中小企業向け支援手法である知的資産経営を地方創生に応用し、「強み」となる地域資源を整理、明確化し、地域の社会課題の解決に向けた未来に向けたアクションにつながる支援手法を探究する取り組みを令和3年度から継続しています。
対象地域の住民、事業者、移住者、行政職員などへのヒアリングやディスカッション、現地視察を通じて、対象地域の「強み」となる地域資源を新たな視点で再発見し、将来ビジョンやアクションプランを「地域版の知的資産経営報告書」などの形に参画者とともにまとめ上げることを目的としています。
そして、再発見された地域資源(強み)をもとに、情報発信、共感する仲間集め、イベント開催、地域の担い手のコーディネート、さらには地域間連携など、地域活性化に寄与する成果を期待しています。
令和5年度も、研究会内で参加メンバーを募集し、役田泰江会員、長山萌音会員、石田充弘会員の3名を中心に、次のとおり活動を実施しました。
今回の舞台は、福井県南条郡南越前町です。同町の社会課題(獣害対策)に取り組む移住者との出会いをきっかけに、町役場へ現地訪問し、中小企業診断士による社会貢献事業を売り込みました。役場のご担当者は、突然の訪問に驚かれながらも、話に耳を傾けて下さいました。その後、役場内でご調整いただき、地域おこし協力隊OBで、先進的かつ精力的に取り組むキーパーソンをご紹介いただけたことで、無事、本事業をスタートすることができました。
中小企業を対象とした知的資産経営報告書で強みを整理できることと同様に、本事業によって地域の知的資産が整理され、今後の地方の担い手不足解消に向けた成長ストーリー(南越前町モデル)を明確化できました。
2泊3日の現地視察では、地域の方々との交流を通じて、山・海・里の多様な自然の恵みを受け、昔からの交通の要所として発達した南越前町の「心の豊かさを大切にする風土」や「おすそ分けの風習」を肌で感じることで、強みの源泉を探究することができました。
そして、未来ディスカッションでは、経営デザインシートの枠組みを活用し、バックキャスティング思考で「南越前町で暮らす“ええ未来”を想像しよう」とKJ法でアイディア出しをしました。未来に向けた想いが膨らむとともにメンバー間で共有することができました。
今後は、完成した知的資産経営報告書を協力者の方々に活用していただくことによって、取組みに関心や共感を持って一緒に活動してくれる仲間を増やすなど、南越前町の活性化に寄与することを期待しています。将来的には、南越前町モデルを他地域へ横展開することで、地域間連携へ発展させ、「応援の輪」を更に広げることに挑戦し続けて欲しいと思います。当研究会としても、応援の輪の一翼として支援し続けていきたいと思います。