三多摩支部 TAMA活性化支援グループ 第110経営オープンセミナー
「これからの時代に期待される中小企業支援者(中小企業診断士)像」
三多摩支部 光武 晋一
TAMA活性化支援グループは、4月16日(火)に東京たま未来メッセ3F 第4会議室にて第110回経営オープンセミナーを開催しました。講師には当グループ創設者の高島利尚会員をお招きし、創設者の立場から当会への思いを踏まえたお話をいただきました。
第1部 「これからの時代に期待される中小企業支援者(中小企業診断士)像」
基調講演となる第1部では、「中小企業診断士とはどうあるべきか」について、本会創設者の高島会員からこれまでの事業者支援活動の振り返りを踏まえてお話をいただいた。中小企業に喜ばれる支援に向けてのポイント、診断の視点、経営支援の基本、支援者に求められる能力、支援の心得などが見出しとしてあげられ、それぞれについてご説明いただいた。
・支援対象企業の今後に通用する強みを見つけ、それを大切にすること。
・支援者の自己満足にならないように、支援先企業が期待していることに応えること。
・経営者が「変化に気づく」ような支援を行う。
・現状にとらわれ過ぎず、環境の変化を踏まえて今後の戦略をよく考える。
・理想を追いすぎないよう、企業に合った提言を絞って考える。
・経営者に気づき(感動)を与えること。経営者は「自分が思ったこと」しかやらない。
・ストーリー性を見えるようにすること。目的と手段の前後関係を明らかにすること。
・実践して成果が見えるまで支援。補助金を獲得した後が大事。その後をしっかり支援する。
これに続き、これまでに携わった中小企業支援の振り返りについてもお話しいただいた。
・経産省や中小機構などと協力しながら、中小企業の情報化に尽力し、仕掛けをし続けている。
・公的機関や診断協会にて、診断士の活躍の場を増やす活動を進めた。
・時流に沿った部会や研究会を企画し、今も多くの会が活躍している。
・中小企業支援の体験を通して次のように考えている。
Aランク やる気のある中小企業支援
Bランク やる気のある地域の小規模企業支援
Cランク やる気を喚起するところからの小規模企業支援
→ Cランクを持ち上げていく取り組みが必要であると感じている。
・小規模企業支援のポイントは「成功体験を積んでもらう」こと。つまり伴走型支援が必要。
・小規模企業支援の手順の考え方
1) 問題意識 ← 傾聴、コーチング
2) 考える、戦略策定 ← コンサルテーション、アドバイス、一緒に考える
3) 計画、実践 ← 継続的に町医者的なフォロー
経験を踏まえた大変示唆に富んだご指摘をいただき、参加者一同もそれぞれ自身の活動を振り返ることができた。
第2部「意見交換会」
第1部の講演内容を踏まえて、参加者全員での意見交換を行った。
Q 実際の現場は来月の資金繰りにも困っている。伴走よりも課題解決が優先されることも多いのではないか?
A まずは血が出ていてケガをしているならばそれを直す。痛いところがなくなったら、そこから筋力をつけ、体力をつけていく。お医者さんに近いのかなと思う。やる気があって力があるところには、大きな企業を紹介することも効果がある。
Q 倒産が増えている。物価高騰、最低賃金、人手不足など。行政などは小規模であまり価値のない企業はどんどんつぶれていけばいいと考えているのかなとも感じている。どう感じているか?
A 多くの(小規模)事業者はタイミングをみて廃業したいと感じているのではないかと思う。ソフトランディングで廃業は良いと思う。やめるときに設備や人があるのであれば、事業引継ぎをしていく、それを手助けするのが自治体などの行政の仕事だと思うし、やり始めていると思う。国は現場をわかっていないこともあり、政策も変わりやすい。どこに焦点を当てた施策を行うかが重要。重点としたところに集中して支援施策を行っていくことは価値があると思う。
時間いっぱいまで意見交換を行い、話は尽きず意見を出しきっていない参加者もいたが、会場の時間もあり閉会の挨拶が行われ終了となった。