東京協会の実務従事体験談　第１回　―久しぶりの実務従事事業への参加―

実務従事支援部では、資格更新のための実務従事ポイントを取得するだけでなく、診断スキルなど診断士として必要な資質の向上を目指し、指導員による指導を伴うハンズオン・トレーニングの形態を採用した『実務従事（東京協会認定実務従事事業）』の運営を行っております。
  今回は、実務従事事業に参加者として参加した後、現在は副指導員としてもご活躍されている、堀　竜一郎会員に、参加者・副指導員として参加した経緯や、実務従事を通じて得られたもの、などについてインタビューを行いました。１回目となる今回は、参加者としての部分にフォーカスを当てております。このインタビューを通じて「実務従事」について少しでも興味を持って頂ければ幸いです。 

上品　忍（実務従事支援部長）：本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。堀先生は2023年に実務従事に参加した後、翌年の2024年には副指導員の立場でも実務従事に参加していただきました。その間の出来事や心境の変化などについても貴重なお話を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。 

堀：よろしくお願いいたします。私は、診断士登録８年目（2016年）で、城北支部に所属する企業内診断士です。普段は電機メーカーで人事や教育に携わっており、企業診断やコンサルといった活動についてはあまりできていない状況です。東京協会の実務従事については、参加者として３回（2018、2019、2023年）、副指導員として１回（2024年）参加させていただきました。 

上品：参加者として３回参加されていますが、2回目の参加から3回目の参加まで期間が空いていますね。この間の経緯や心境の変化について教えて頂けますか。 

堀：新型コロナウイルスの感染拡大により、３年間くらいコンサル活動は全くできず引きこもった状況でした。一方で、ポイントも診断スキルも溜まらない…会社員として本業だけやっている毎日でよいのか…。このままでよいのかと焦りを感じていました。そのような時に、実務従事部員として案件に興味を持ち、後日web申込した「実務従事マッチング会」で、個人的に興味のあった「インドアゴルフ練習場事業」で活動場所が自宅の隣町（徒歩圏内！）という案件を発見し、指導員と副指導員と話をした感じもとてもよかったので、出会いやタイミングに運命を感じて、すぐに申込みました。 

上品：そういう基準でいろいろな案件を見られるのが、「実務従事マッチング会」の良いところですよね。久しぶりの実務従事参加でしたが、参加するまでに不安に感じるようなことはありましたか。 

堀：大きく３つありました。１つ目としては、指導員、リーダー、参加者間で提案の方向性や骨子の合意形成がなかなか図れず、スケジュールがタイトではないか、ということ。２つ目は、スケジュールが順調に進んだとしても報告書執筆が大変ではないか、ということ。３つ目は、実務従事の進め方がストイックな雰囲気なのではないか、ということです。 

上品：実際に参加してみて印象が変わったということですね。 

堀：大きく変わりました。１つ目のスケジュールについては、指導員の先生が経営診断のフレームワークを準備して下さり、そのワークシートを使いながら方向性をすり合わせることで、短期間で方向性が共有できました。２つ目の報告書執筆については、執筆論点が不足するパートは指導員の先生がネタを提供してくださいました。また、指導員の先生の方針で、各パートの骨子を整合してから執筆することで後戻りが少なく、内容と発表練習に重きを置いたことで体裁面のチェックも必要最小限であり、結果として報告書執筆もそれほど苦になりませんでした。最も重要な３つ目ですが、指導員の先生が毎週異なる近隣の人気店等を調査してくれたので楽しく昼食時間を過ごすことができました。また、毎回17時までにはかならず終了し、報告書の印刷の手間なども皆無で、まるで令和スタイルとでもいうような快適な雰囲気で、事前に抱えていた不安は一気に吹き飛びました。 

上品：令和スタイルという興味深いワードも出ましたが、指導員の先生が率先して快適に実務従事をできるように配慮してくださるのはありがたいですよね。今後は、私も見習っていきたいと思います。参加者として実務従事に参加したことで感じた実務従事の魅力について教えていただけますでしょうか。 

堀：診断ノウハウを獲得できるという点が大きいと思います。具体的には、①指導員の先生が診断の方向性を決める際の理由や背景を理解することで顧客ニーズに対する仮説設定力が向上する。②指導員が使うフレームワーク、補助金等各種支援制度、具体的ですぐに実行に移せそうな具体提言を学べる③報告会での顧客の反応を見ていると、刺さる提案がどんなものかが分かってくる。④参加者から分析スキル等が学べる（営業系、IT系、会計系など多様な参加者がおり、固有の強みがある）など、挙げればきりがありません。生活にハリが出るという面も大きかったです。具体的には、①仕事とプライベート以外の第三の活動をすることで生活にハリがでる。リズムが良くなる（ダラダラしない）②顧客から感謝されて嬉しい。③指導員との関係構築に繋がる場合がある、ということが挙げられます。 

上品：副指導員としての参加につながってくるのですね。 

堀：その通りです。指導員の先生から打ち上げの席で「次回副指導員やらない？」と言われ、2か月後にメールで正式依頼がきたことがきっかけです。 

上品：そのようなきっかけがあったのですね。今回は紙面の都合によりここまでとなりますが、次回、副指導員として参加された経験についてもお話を伺えればと思います。本日はありがとうございました。 

堀：ありがとうございました。