会員部イベント「夏を涼しく乗り切る『江戸切子』オリジナルグラス制作体験」参加レポート

意外と上出来の“オンリーワン”グラスに愛着が湧きました!
城南支部 大須賀 健一
今年は例年以上の猛暑が続いていますが、「江戸切子オリジナルグラス制作体験」という涼しげなイベント名と、その後の懇親会での交流を楽しみに、2025年7月12日(土)に開催された体験イベントに参加しました。ご家族で参加された支部会員もいて、和やかな雰囲気の中、集合場所から移動します。会場は、浅草駅から徒歩わずか30秒という好立地に工房とショップを構える「創吉(そうきち)」さんです。手先の不器用な私にとっては、小学校の陶芸体験以来ウン十年ぶりの工芸チャレンジ。期待と不安が半々の気持ちで階段を上がり、工房に足を踏み入れました。
ここで、東京を代表する伝統工芸「江戸切子」について簡単に紹介します。江戸切子の起源は1834年(天保5年)、加賀久兵衛が金剛砂を使ってガラス表面に彫刻を施したのが始まりとされます。その後、大正から昭和初期にかけて工芸ガラスが流行し、1965年(昭和40年)に名称が統一されブランド化が進展。1985年には東京都の伝統工芸品、2002年には国の伝統的工芸品に指定されています。江戸切子は、回転する砥石などでガラス表面に繊細な文様を彫刻し、光の屈折によって美しい輝きを引き出す技法です。和柄が多く用いられ、暮らしの中に溶け込む美しさが特徴とされています。(参照:江戸切子協同組合ウェブサイト等)
さて工房には、さまざまな模様と色のグラスがずらりと並び、「これは難しそう…」と皆さん冷や汗です(これも一種の納涼?)。そこへ講師の方が砥石へのグラスの当て方を丁寧に教えてくださり、「自分にもできそう」と前向きな気持ちに。私も練習用グラスで星模様に挑戦しますが、左右非対称に。手元を見る目線の角度が違ったようで、講師の方が丁寧に修正点を指導してくれました。
そして本番。私は「七宝一周」という模様に挑戦。難度はやや高めですが、削り方のワンポイントメモが用意されており安心です。底面から側面へと作業が進むにつれ難易度も上がります。周囲を見渡すと、先ほどの和やかさはどこへやら、皆さん真剣な面持ちで作業に集中しています。
私は終盤でようやくコツをつかみ、仕上がりには少し不安もありましたが、下書きを落として綺麗に拭いてもらうと、思った以上に立派な作品に。スポットライトを浴びての撮影写真では高級感すら漂い、「これ、結構いい値がつくのでは…」と愛着が湧いてきました。持ち帰った“オンリーワン”の江戸切子グラスで、さっそく冷えたワインを楽しんでいます。

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今回の体験を通じて個人的に感じたのは、「江戸切子は高度な技術である」「ガラス工芸品は高価で手が出にくい」といったイメージが一般にある中で、自分で作ったグラスに特別な価値を見出す「保有効果」が働いたということです。このような行動経済学的な心理効果を考慮すると、現在の体験料3,300円は、模様入りグラスだけで十分元が取れたと感じられる価格設定。むしろ、もう少し高くても納得できるほど満足度の高い「コト消費」体験でした。
その後の懇親会では工芸談義にも花が咲き、とても充実した一日となりました。
いつもこのような満足度の高いイベントを企画して下さる会員部の皆様に心より感謝申し上げます。今後の企画も楽しみにしております。
