Cの会 2025IT10大ニュース

城西支部 宮脇 啓透
2025年12月5日(金)の東京協会認定研究会「Cの会」定例会合で、2025年のITに関するニュースを振り返りました。今回の選定および順位は以下の基準です。
⚫︎またはマイナスにも金額規模が大きかったと考えられるもの
⚫︎ 消費者、働く人、企業の活動への影響が大きかったと考えられるもの
それでは振り返ってみましょう。
第1位:AIサービスの進化と高度な連携の促進
各社AIは高性能化から、高機能化と応用のフェーズに移行しました。先進的な企業やユーザーは、AIとアプリケーションの連携や自律的にタスクを実行するAIエージェントといった応用的な使い方を促進した結果、将来的に知的労働市場に影響を与える可能性があります。
第2位:ランサムウェア攻撃の高度化と国内サプライチェーンへの深刻な脅威
標的型ランサムウェアによる被害は、消費者向けサービスを提供する大手企業にも波及し、業務停止、サプライチェーンの遅延、大規模な情報漏洩といった事業継続性(BCP)に関わる深刻なリスクとして顕在化しました。高性能AIの活用により言語の壁が低くなったことで、これまで「言語的な参入障壁」に守られていた日本企業に対するサイバー脅威が急増しているとも言われています。
第3位:Nintendo Switch 2発売
任天堂から2025年6月5日に新型ゲーム機Switch 2が発売されました。9月末の時点で1,000万台以上を販売し、当初の年間販売台数計画も上方修正する勢いです。人気のある商品やチケットで相次ぐ転売の対策や店舗での長蛇の行列を避ける目的から抽選での販売が主流になりました。
第4位:クラウドサービスの社会基盤化に伴うリスク拡大
主要なIaaS/PaaSプロバイダーにおけるサービス障害は、世界規模でのSaaSアプリケーションの連鎖的な停止を引き起こし、企業活動および社会インフラに対するクラウド依存度の高さを改めて浮き彫りにしました。
第5位:リチウムイオンバッテリー関連事故の多発とリサイクル環境の整備
モバイルバッテリーやバッテリーを搭載した小型機器の出火・発煙事故が相次ぎました。交通機関の運行停止や火事にまで発展しています。これを受けて、バッテリーの回収方法が拡大し、消費者は以前に比べバッテリーの処分がしやすい環境が整備されつつあります。
第6位:マイナンバーカードが適用範囲拡大するも、社会的受容に課題
運転免許証および健康保険証のマイナンバーへの一体化が進みました。国民IDとしてのマイナンバーの利便性が高まったものの、健康保険証については医療機関および国民双方で利用に関する合意が完全に得られないまま進行しました。また2025年から2026年はサービス開始時にマイナンバーを発行した方の切り替え時期になっています。
第7位:ネット証券の不正アクセスとセキュリティ強化の加速
ネット証券への不正アクセスが相次ぎました。犯人は予め流動性の低い(売買の少ない)株式を高値で売りに出し、不正アクセスしたアカウントで買い取るといった新たな手口による詐取が発生しました。この事件を機に、ネット証券に限らず多くのネットサービス企業で多要素認証などのアカウントセキュリティの強化がはかられました。
第8位:システム障害や設定ミスによる社会インフラの停止
近年、銀行のシステム障害により出金、振込の停止が相次いでいます。2025年は高速道路の料金システムの障害、システムの設定ミスが根本的な原因によって首都圏の電車が丸一日運行停止する事態が発生しました。
第9位:デジタル選挙活動の広がりとディープフェイクの脅威
2025年に行われた主要な選挙戦では、YouTubeやTikTokなどのプラットフォームで展開されるライブ配信やショート動画などのSNSが若年層への情報接触ツールとして定着し、候補者や政党による活用が本格化しました。一方で生成AIの進化に伴い、ディープフェイクや組織的なフェイクニュースの拡散が深刻な課題として顕在化しました。
第10位:AIサービス企業による不正会計発覚
AIサービスを展開する企業で循環取引による大規模な不正会計が発覚しました。経営者の逮捕や上場廃止にまでいたる深刻な結果をもたらしました。
2025年の10大ニュースは世の中に悪影響があるニュースが多くなりました。2026年は良い影響のあるニュースが多くなってほしいと願っています。私たちも世の中をよくするITを活用したビジネスを支援してまいります。