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【令和7年度社会貢献事業】「食品のサプライチェーンにおける2024年問題」課題解決に向けて

三多摩支部 八矢 伸之

食品業界研究会では、定例の活動に加え、会員有志が集まって関心のあるテーマを研究し、その成果を診断に結び付ける分科会活動を行っています。
「食品のサプライチェーンにおける2024年問題」をテーマとする物流研究分科会は令和4年度から活動を開始し、令和5年度からは東京協会の社会貢献事業に参加し、研究成果の発信を行っています。

昨年のトラックドライバーへの労働時間の上限規制の適用開始以降、物流効率化の動きとしてDXの推進や標準化の推進などの取組みは打ち出されていますが、労働時間に影響を与える拘束時間や荷待ち・荷役時間の短縮などの改善は難しく、対応が進んでいる状況とは言えません。

このような動きを踏まえて当分科会では次の活動に取り組んでいます。

○物流の効率化などに寄与する取組みの発信
物流に関する政府や関連団体から発信されている情報について、中小事業者に影響が出ると思われる内容を考察し、要約したレポートをメンバーで作成、当分科会のHPで発信をしています。
・総合物流施策大綱
・加工食品物流アクションプラン
・取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン
・パレット標準化
・物流DX

○2026年度 物流関連二法の改正に関する研究
物流関係企業に所属するメンバーから、物流の費用などに大きな影響を与えると思われる物流関係二法の改正について研究、報告を行いました。
特に貨物自動車運送事業法の改正では、トラック1台あたりの運賃が2023年に示された「物流革新に向けた政策パッケージ」での参考指標「標準的運賃」で告示されている金額の半分程度という状況を鑑み、引上げを盛り込む法整備を進めているとのことで、実際に引き上げとなればサプライチェーンの各事業者の値上げ、最終消費者にとっても商品価格のアップが想定されます。
商品の物流だけでなく、経済動向にも影響を与えかねない可能性があることを確認しました。

○物流関係事業者の取組み講演
物流関係事業者の取組み状況を確認するため、青果の配送コンテナのリース事業を手掛ける企業の前社長から取組みの経緯や成功のポイント、今後の課題について講演をいただきました。
現在、大手のスーパーでも利用されている青果配送用の折り畳みコンテナのリースを1995年から行っている企業ですが、ドイツとの合弁会社からの出発であり欧州市場と大きく異なる日本市場の慣習を乗り越えながら、同業ではほぼ独占の状況を築いた経緯を伺いました。
また、物流効率化の取組みで必須であるパレットの規格統一については「コンテナのレンタル事業が広がっていった経緯はサプライチェーンの各事業者の協力があってこそ」とのお話しから、サプライチェーン全体での取組みが必要であることを学ぶことができました。

 

食品のサプライチェーンの各段階では二律背反が発生している状況です。その改善についても運送に係る設備

、備品の統一化が進まないこと、システムの連携、構築も導入には課題があるなど厳しい状況です。
食品業界の中小事業者は、今後の法令改正により運賃の更なる値上げも想定され、ますます厳しい経営環境下におかれていきます。
そのような中小事業者に寄与するため今後も調査研究と情報発信を進めていきます。

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