SDGs経営支援研究会 2月度活動報告

城南支部 佐藤 誠吾
今回は、改田義之会員により、「ポストSDGs」についてと題し、2026年2月24日に開催された。
今回の目的は、気候変動およびSDGsの最新動向を踏まえ、2030年以降の「ポストSDGs」の方向性を議論することであり、特に中小企業診断士として経営支援にどう活かすかという視点が重視された。
冒頭では、オリンピックにおける女子種目採用の歴史を題材に、ジェンダー平等(目標5)の進展を考察するアイスブレークを実施。社会制度の変化が国際目標とどのように連動してきたかを確認した。続いて、日本および世界の気温上昇、海水温上昇、降水量変化の最新データを共有。2023~2025年が観測史上最高水準に集中している事実、極端気象の頻発、農水産物への影響などが示され、気候変動が企業経営に直接影響を及ぼすリスクであることを再認識した。これはBCP策定支援やリスクマネジメント助言を行う診断士にとって、極めて実践的な情報である。
さらに、温室効果ガス排出量の国別・部門別構造を整理。中国・米国・インドの排出動向、電力部門および鉄鋼業の高い排出比率が示された。加えて「生産ベース」と「消費ベース」という排出量算定の違いを学び、輸入品由来排出やサプライチェーン全体での責任を考える必要性が確認された。これは中小企業に対するScope3やカーボンフットプリント対応支援に直結する知見である。
SDGs最新レポートでは、日本は19位であり、目標2(飢餓)、5(ジェンダー)、12(つくる責任つかう責任)、13(気候変動)、14(海洋資源)、15(陸上資源)に深刻な課題があることを確認。ジェンダーでは女性議員比率や賃金格差、目標12・13では廃棄物管理や輸入由来排出が評価を下げていることが共有された。これらは企業の人材戦略、廃棄物管理、GX対応支援など、診断士の具体的助言領域と重なる。
後半は「ポストSDGs」をテーマにグループ討議を実施。期間延長(15年案)、目標の統合や優先順位付け、評価方法の見直し、未達成国へのインセンティブ・ペナルティ付与など、多様な提案がなされた。特に、目標間のシナジー分析や重点分野への集中投資の重要性が議論され、戦略立案における「選択と集中」の考え方が国際目標にも必要であることが示唆された。
最後に、国際的検討動向として、ターゲットの再編、2050年視点への延長、ウェルビーイングを中核概念とする枠組みが紹介された。日本からは「サステナブル・ウェルビーイング・ゴールズ」構想が提案されつつあり、単なるGDP成長ではなく、人と社会と地球の統合的価値を評価する方向性が示された。
本研究会は、SDGsを単なる理念ではなく、経営支援の実務ツールとして再解釈する機会としている。気候リスク、サプライチェーン排出、ジェンダー、資源循環、ウェルビーイングといった論点は、中小企業の成長戦略、BCP、GX・SDGs経営支援の中核テーマである。診断士にとって、国際動向を踏まえた高付加価値支援を行うための知見と視点を得られた、有意義な研究会発表であった。