中小企業施策研究会2月例会 「役人診断士の経験談として皆様へお伝えしたいこと」
城南支部
与那覇 幸子
2月13日の例会は、経済産業省関東経済産業局産業部長 勝本光久氏と地域経済部地域振興課長 門田靖氏をお招きし、「役人診断士の経験談として皆様へお伝えしたいこと」~ 新しい中小企業施策を加えて ~ と題して講演をいただきました。
勝本氏ご自身が中小企業診断士であることから、診断士の視点も踏まえた内容で、とても興味深く聞くことができました。お話を要約すると以下のとおりです。
【ご自身のご紹介】
まずは中小企業診断士の養成課程について。1年間の養成課程では、チームワークや異業種交流を経験した。そして経営の生々しさ、診断士の助言が社長に勇気を与えること、チームでソリューションを提供する醍醐味などを学び、物事を俯瞰する「鳥の目」を養えた。
また、5年間毎日昼休みに勉強を続け、社労士の資格を取得した。他、土浦その他の花火大会で審査官をしたことも、貴重な経験となった。
【中小企業施策の認知度】
中小企業庁広報相談室長の時に中小企業の施策認知度調査を実施した。「中小企業の経営者は、施策はよく知っているが中々利用しない」「紙の媒体は好評」の2点がわかった。またミラサポの補助金情報サイトは、閲覧数は多く経営者もよく見ている。
中小企業診断士には中小企業向けの施策をうまく経営者に伝えること、その際「中小企業施策利用ガイドブック(1冊800g!)」やミラサポの「補助金虎の巻」をうまく活用すること、をお願いしたい。
【価格転嫁を成功させるコツ】
現在中小企業の抱える大きな課題の一つが、価格転嫁である。取引先企業への価格転嫁のコツとしては以下と考えている。
①経費の1つひとつを積み上げ、コストを見える化する
②交渉相手の業界の(下請適正取引等の推進のための)ガイドラインを読み込み、対応方法を検討する
③勇気をもって価格交渉のテーブルにつく
特に③が最も重要で、実行のために、診断士には経営者の背中をぜひ押してもらいたい。
【診断士へ期待すること】
診断士には施策の伝道師となってほしい。そのためには支援者行動としてのスキル「THINK」と、その心がけとしての「ACTION」が肝要である。
T:つなぐ
H:ほめる
I:言わせる(語ってもらう)
N:伸ばす
K:気づかせる
A:頭を鍛える
C:コミュニケーションから課題、強みを発見する能力
T:つながり力をつける(情報提供力、関係構築力、おもてなし力)
I:意思のある人を見つけて育てる
O:同じ目線で話す姿勢
N:年季を入れる
【私から特にお伝えしたい事】
今後以下の業務で診断士の役割が期待されている。
・自治体など災害対応への支援
・国、県、市の施策を把握し、その地の企業にとっての最適な支援
・国の支援窓口と連携した周知活動や相談対応
・地域を超えた企業交流の企画、フォローアップ
・公庫、商工中金の取引企業への企業支援
特に先に述べた価格転嫁活動の支援には期待している。下請けGメンは50人程しかいないが、東京協会の診断士だけでも5000人となれば、その力は大いに発揮してもらいたい。
以上のお話しの中で、私にはTHINKとACTIONが特に印象的でした。その後最新の中小企業支援施策について解説と活用事例のご紹介もいただきました。会場での質疑応答も活発になされ、定例会終了となりました。