中央支部研修部主催 知のホットコーナー
「中小企業診断士として知っておくべきIPO(株式上場)の概要と基礎知識」
中央支部 板橋 晃平
3月11日(月)、中央支部研修部主催の「知のホットコーナー」が、中央支部事務所での対面形式とリモートの併用で開催されました。講師は、中小企業診断士であり金融系ベンチャーキャピタルのインベストメントマネジャーでもある藤井智史氏と、税理士であり金融系ベンチャーキャピタルシニアマネージャーでもある中村洋次氏。参加者は事務所とリモートを合わせて70名を越えました。
中小企業診断士としてIPOのトピックに対応できるよう、押さえておくべき一般的な基礎知識のみならず、現役のベンチャーキャピタリストである講師から現場感覚に沿ったIPOの実務経験と勘所が紹介されました。
・上場とは: 企業が発行する株式を証券取引所で売買できるようにすることです。
・IPOには以下のメリット・デメリットがあることから、経営者は、経営戦略を立てて何を優先してバランスを取るかを考えなければなりません。
・IPOによるメリット
主に資金調達の多様化、財務基盤の強化、信用度・知名度の向上、人材確保、モチベーション向上
および創業者利益の獲得があります。
・IPOによるデメリット
経営責任と企業の社会的責任の増大、株主対応の負担、経営意思決定の迅速性と自由度への制約および上場のための多額のコストがあります。
・IPOスケジュール
円滑なIPOを実現するためには、決算書を整理する必要があることから上場申請の3期前(N-3期)の期末頃から監査法人による監査が必要となります。また、IPO対象の企業の上場を担当することとなる主幹事証券会社は、当該企業が上場する際にはその株式を引き受けて市場に対して責任を持つことになるため、上場申請の2期前から上場審査に関わり、証券取引所の設けたルールをクリアするために必要な施策の実施や証券取引所の担当者によるさまざまなインタビューに対応できるようさまざまなコンサルティングを施します。その後、証券取引所の詳細な審査を経て、上場承認後、当該企業は、機関投資家へアプローチして、その事業が社会的に需要があることを説明し、上場時の企業価値を高める努力をします。
事例となった、経営者から中小企業診断士に対する相談への回答について、グループでのディスカッションも行われました。
また、参考になる書籍の紹介などもあり、実務に有効な講座でした。