1. HOME
  2. Members
  3. 城南支部国際部 城南プログラム基礎編2 「儲ける力を加速させるグローバルサプライチェーン(SCM)入門」参加報告

城南支部国際部 城南プログラム基礎編2 「儲ける力を加速させるグローバルサプライチェーン(SCM)入門」参加報告

城南支部 富永 周一郎
shuichiro_tomi=yahoo.co.jp
(スパムメール防止のため「@」を「=」に変えております)

9月9日(月)に、城南支部国際部主催 城南プログラム基礎編2 「儲ける力を加速させるグローバルサプライチェーン(SCM)入門」が大崎の南部労政会館にて開催されました。講義は、第1部「グローバルサプライチェーンの動向」(マクロ視点での理論編)と第2部「儲ける力を加速させる思考法と実践術」(ミクロ視点での実践編)の2部構成で行われました。

第1部講師の中込美津子会員は、電機メーカーの海外営業に従事された後、会議通訳に転じられ、SCMの基礎と言われるTOC(制約理論)を作ったゴールドラット博士の通訳を務められました。これをきっかけにコンサルタントに転身され、APICS Certified Supply Chain Professional (CSCP)を取得、現在はTOCを用いたオペレーション革新の支援で活躍されています。

今回の講義では、まず、なぜ中小企業がグローバルサプライチェーンを考えるべきか?として、中小企業も原材料調達への影響などで否応なくグローバルサプライチェーンに巻き込まれていること、次にグローバルサプライチェーンは非常に長い鎖になることを図でわかりやすく説明していただきました。続いてSCMと制約理論(TOC)として、ボトルネックに集中して改善すれば良いが、ブルウィップ効果で川上に行くに従って責任感と不安の連鎖で発注量が大きくぶれていき、真のボトルネックが見えなくなっていること、結局KKD(勘と経験と度胸)で発注量を決めている実態があることなどが紹介されました。 最後に、全体最適のサプライチェーンマネジメントとして、スループット(付加価値)の最大化で皆が儲かることに繋がるとのお話があり、第2部へ引き継がれました。

講師の実務経験にもとづく具体的な事例をふんだんに取り入れてわかりやすくご説明いただけたので、実務に於けるサプライチェーンマネジメントの実態と課題について認識することができました。

第2部講師の丹野幸敏会員は、航空、医療機器、外食などの業界で技術、経営企画、生産・物流、国際取引、新規事業などに従事され、部門横断での意識改革、生産性向上を実践されてきました。現在は国内外の中小企業支援や経営支援人材の育成に従事され、1級販売士、元ISM Certified Professional in Supply Management (CPSM)を取得して日本生産性本部認定経営コンサルタントとしても活躍されています。

まず、「儲け」「生産性」についてのお話があり、「儲ける」とはビジネスサイクルを早め、スループット(≒限界利益)を増やすこと、そのうちコントロール可能な棚卸資産の回転期間を短くすること、そのために早く無駄無く作ること、「生産性」は少ないインプットでより多くのアウトプットを産み出すことであることを学びました。次に、ボトルネック解消のポイント(着眼点)として、慣習・思い込みなども含めてボトルネックを広く捉えること、バリューストリームマップでモノと情報の流れ・付加価値を生む工程を全体俯瞰でボトルネックを可視化し、攻めるポイントを決めることが重要であること、およびサプライチェーン関係者の連携が成功要因であることをご紹介いただきました。最後に、診断士が果たすべき役割はSCM思考で企業活動を停滞させる真の原因(ボトルネック)を洗い出すことにあるのだということを認識しました。
受講者への問い掛けを多用された受講者全員を巻き込んだ講義で、緊張感を持って参加させていただきました。

さらに、講義全体の最後の質疑応答では、KKD(勘と経験と度胸)について、およびバリューストリームマップが世界で広がらなかった理由などの他、為替ヘッジの考え方や地政学リスクへの対応など受講者が実務でぶち当たっている疑問の解消を含め、時間ギリギリまで活発なQ&Aのやりとりが行われ、講義内容に無い関連知識まで得ることができました。

今回は、中小企業も巻き込まれているグローバルサプライチェーンとは何か、およびその課題と対処法について知識を得るとともに、中小企業診断士としてどのように支援していくべきかを考える貴重な機会でした。私も、今回学んだ知識を実際の企業診断や業務改善支援の場で活かしていきたいと思います。

関連記事

アーカイブ