城西プロコン養成塾(JOPY)20期 第4回講座受講報告
事業継続の生命線を守る
城西支部 永山 陽一
経営資源に限りがある中小企業の経営者の悩みは、大きくは売上や利益の拡大、人材確保、そして資金繰りに集約されると言われます。資金繰りに対して私たち中小企業診断士はどのように考え、行動しなければいけないのか、そして、それが立ち行かなくなる可能性のあるとき、どう考え、どう支援することができるのか。城西プロコン養成塾(JOPY)の第4回講座が10月19日(土)、税理士法人の代表でもある黒澤尚生会員と、事業再生支援が専門の北川晴久会員を講師に迎え、開かれました。
前半の黒澤会員がお話しいただいたテーマは「中小企業の資金繰り」。中小企業の経営における資金繰りの重要性から、日常的な資金繰りに関する知識、キャッシュフロー計算、中小企業における資金調達方法と金融機関との関わり方、緊急時の資金繰り確保について、演習を交えて学びました。
内容は、いずれも実践的かつ具体的なものであり、目の前に経営者を交えてOJTをしていただいているよう。演習における課題も実践そのものであり、大変勉強になりました。
印象的だったのは、中小企業の資金繰りへの関与の仕方に対する考え方でした。支援に関わるタイミングは、顧問先の場合や経営革新等支援機関、もしくは公的機関の相談員としてなど多岐に渡りますが、いずれも顧問税理士と相互に業務範囲を連携・確認し、中小企業診断士としての得意分野を明確にして、役割を分担して支援にあたるということの重要性をご教示いただきました。
後半の北川会員がお話しいただいたテーマは「事業再生の実務」。前半で黒澤会員にお話いただいた資金繰りが厳しくなったときに、倒産を回避するために私たち中小企業診断士が支援先企業に対してどのような支援ができるかが問われる分野です。そもそも事業再生とはなにか、事業再生における財務デューデリジェンスにおいて確認すべきポイント、事例の紹介とまさに実践に基づいたお話をいただきました。
資金繰りが厳しくなったときに中小企業診断士だけでできることは限られること、しかし、そのなかでもできることをどのように進めていかなければならないか、について借入金返済計画を作成する演習を交えてお話をいただきました。
中小企業診断士だけでできることは限られるからこそ、私たち中小企業診断士が他の士業の方と比べて強いとされるマーケティングや、何よりコミュニケーションの部分でしっかりと強みを発揮して関わっていくことの重要性を教えていただきました。
今回の講義は、現職や前職での経験も含め得意な人も多くいる分野と、一方で当面関わることも少ないと思われるものの究極の判断が求められる分野という、両極にある分野についてお話をいただきました。
中小企業を支援していく中小企業診断士として、避けては通れない課題に対する重要な学びの場となりました。