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中小企業施策研究会10月例会 ~西武信用金庫の中小企業に対するカーボンニュートラル支援~

城南支部 松尾 隆

今回10月11日(火)の例会では、西武信用金庫の事業支援部推進役の落合和司氏をお招きし、「西武信用金庫の中小企業に対するカーボンニュートラル支援」と題してご講演をいただきました。

西武信用金庫では、金融庁行政方針における持続可能な成長を支える気候変動問題への対応、及び経済産業省のグリーンエネルギー戦略に沿った「中小企業に対するカーボンニュートラル支援」などを推進しており、具体的な事例をあげながら、取組事項をご説明していただきました。

1.金融庁の金融行政方針

(1)金融庁では、2022年度金融行政方針に基づいて直面する課題を克服して、持続的な成長を支える金融システムの構築を目指している。

(2)気候変動への対応などの社会問題の解決を新たな成長とつなげるために金融面での環境整備を行うとともに、成長の果実が国民に広く還元される好循環を実現する。サステナブルファイナンスを推進するため気候変動についてはトランジション・ファイナンス推進のための環境整備を進める方針である。

*トランジション・ファイナンスとは、脱炭素型あるいは低環境負荷型に移行させるための投融資のこと。

2.経済産業省のトランジション・ファイナンス

(1)経済産業省では、CO2削減のパリ協定実現に向けて政府の直接支援だけでは不十分であり、種々の分野で気候変動の対策を行うファイナンスは重要な政策課題であるという認識を持っている。

(2)全ての企業が一足飛びに脱炭素化できないのも現実であり、その間のトランジション(移行)の概念を提案し、世界に先駆けて具体的な制度整備を推進し、その際の金融面の支援を要請。2021年「基本方針(経済産業省、金融庁、環境省)」を発表して、トランジションの適格性を判断するための分野別ロードマップを策定した。そして日本郵船やJALなど12社の事業(ボンド<証券会社>・ローン<金融機関>)を同ファイナンスのモデル事業として採択した。

(3)グリーンエネルギー戦略の全体像として、グリーン、トランジション、イノベーションの3分野における金融機能の強化、情報開示の充実、市場・評価機関の信頼性向上などによる基盤整備を図る。具体的には、クライメート(気候)・イノベーション・ファイナンス推進事業(評価機関などへの補助、令和4年度予算3億円)、カーボンニュートラル実現に向けたトランジション推進のために利子補給事業(日本政策金融公庫を通じた金融機関への利子補助金、同6.4億円)などを推進している。ただ、上記内容は大手金融機関の支援や要請が中心である。

3.西武信用金庫のSDGsの取組み

(1)西武信用金庫では、「経済」「社会」「環境」の3側面の調和による課題解決により、持続可能な社会実現に努めるとともに、地域温暖化などの環境問題に誠実に取組むという「環境理念」を明示している。

(2)環境保全への取組みとして、21世紀金融行動原則への信金業界での初の署名、「eco.定期預金」の開始(21世紀金融行動原則で特別賞受賞)、2020年のSDGs宣言等に加え、各種セミナー開催を通じた啓発活動、SDGsをテーマに掲げたコンテストの開催などをそれぞれ展開。さらにクールビズ・ウォームビズの継続、2022年はサステナブル経営支援セミナー、脱炭素経営支援セミナーなどを開催している。

 *eco.定期預金はお客さまの満期利息の20%相当額と西武信用金庫から同額相当額を環境保全など地域に根差しエコ活動をする団体の活動資金に活用。好調で「地域みらい定期預金」に名称替え。

4.西武信用金庫のカーボンニュートラル支援

(1)中小企業のカーボンニュートラル取り組みへの支援として、専門企業との「CO2排出量の可視化・報告・排出量の削減支援のマッチング契約」を始め、「CO2排出量可視化・削減サービスプラットフォームのマッチング契約」、「CO2排出量/削減量簡易算定、SBT(Science-Based Target)申請のマッチング契約」などをそれぞれ締結した。専門企業との連携を通してお客さまに対し具体的な支援を実施する扱いである。さらに相模市と「脱炭素社会の実現に関する連携協定」を締結(アドバイザー派遣、セミナー開催など)。

(2)SBTでは、スコープ1が自社での排出量、スコープ2が自社が購入した間接的な排出量(上流)、スコープ3が下請けの排出量(下流)と定義されている。中小企業ではスコープ3が問題となる。SBTは毎年グレードアップが必要であるが、下請けにあたる中小企業は今のうちにSBTに詳しくなって大手企業からの排出量削減の要請に慌てないようにして差し上げたいというのが西武信用金庫の戦略である。

(3)こうした中、エコやグリーンエネルギーに詳しい中小企業診断士の方々への期待は大きい。

以上の説明終了後に、活発な質疑応答がありました。私たち中小企業診断士は行政や金融機関の新しい取り組みを理解しながら、中小企業支援を通じて環境問題などの社会課題解決に積極的に関与していくことがますます重要となっていると認識できた例会となりました。 

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