中小企業診断士による社会貢献事業(流通問題研究会)について
中小企業診断士に聞く!ハンドメイド作家のための経営セミナー開催報告
城西支部 太田守彦
城西支部・流通問題研究会では、令和4年度に引き続き令和5年度も社会貢献事業としてハンドメイド作家支援活動を行っています。今年度は、「女性への経営知識の学びの機会提供と事業化への後押し」を活動テーマにさまざまな活動を展開しています。ハンドメイド作家は趣味の延長で副業として行っている人もいれば、プロのハンドメイド作家として本業で活躍している人もいるなどさまざまで、課題も少なくありません。さまざまな課題に対して、経営セミナーの定期開催および同コンテンツのWeb公開、作家への直接支援を行っています。今回は、経営セミナーについての報告となります。
昨年度は、「ハンドメイド作品の魅力を伝える写真の撮り方講座」、「中小企業診断士に聞く!ハンドメイド作家のための経営セミナー」を開催しました。今年度の第1回セミナーは、7月16日(日)13:00より15:00までTimesharing新宿にて対面形式とZoomによるWeb形式のHybrid開催でした。参加者は6名と過去最高の参加者となりました。セミナーのテーマは「コンセプトから考える価格設定」とし、講師は令和5年度社会貢献事業としてハンドメイド作家支援をリードしている城南支部の石川裕絵会員よりご講演いただきました。
「コンセプトから考える価格設定」は、主に3つのテーマから構成されており、①事業コンセプトとは?では「誰に」、「何を」、「どのように」を設定し事業コンセプトを明確にすることの重要性を説明しました。「誰に」が最も重要で、どんな人が買うのかを顔が思い浮かぶくらい細かく設定すること、「何を」では商品だけではなく、商品がもたらす便益(ベネフィット)の観点からも考えること、「どのように」では、「誰に」「何を」なぜ実現できるのかを表現することなどの重要性を説明しました。②コンセプトから価格を設定する方法では、ターゲットが買いそうな価格設定や同じ便益をもたらす競合品の価格も調べることの重要性について説明しました。③価格を設定する前の確認ポイントでは、作品にかかる費用から考えるという視点で、材料費、人件費に注目して価格設定の算出方法や費用から価格を決める目安として、かかった費用の3倍で設定するということも説明しました。誰のための作品なのかを具体的にイメージをしながら決めることが重要であるとお伝えしました。参加者からは「コンセプトを決めるための方法がとても参考になりました。今後の作品作りにも活かせそうです。」「ベネフィットの観点をもう少し掘り下げてみようと思いました。」とのコメントを頂きました。
参加者の満足度も高かったため、ハンドメイド作家の皆様が抱えている課題に対して、私たち中小企業診断士ができることを、引き続き考えていきたいと思います。次回のセミナーは9月23日(土)13:00から開催する予定です。