中小企業診断士による社会貢献事業(災害復興・災害支援)について
岩手県大船渡市における継続的な被災地支援
城東支部 藤田 千晴
東京協会では被災地への支援活動を継続的に行っていますが、東日本大震災においては岩手県大船渡市の2地区を対象に、発災した平成23年の秋から現在に至るまで産業復興、地域振興を中心に支援を実施しております。この3.11で大きな被害を受けた岩手県大船渡市への支援を開始したのは、「災害復興まちづくり支援機構」からの依頼がきっかけでした。
災害復興まちづくり支援機構とは、東京都において大きな災害が発生したときに東京都および都内各自治体の復興活動を支援するため、都内の17の士業団体が集まった団体です。複数の士業がそれぞれの職能を発揮し、互いに協力して被災地の復興をお手伝いするのが特徴です。
3.11の発災を受けて大船渡市の災害復興計画策定委員から災害復興まちづくり支援機構に対して協力依頼があり、東京協会は当時の地域支援部を通じて全面的な協力を申し出ました。東京協会の災害復興支援に携わる部署の名称は地域支援部から地域連携支援部、そして社会貢献事業推進委員会と変遷を遂げておりますが、変わらずに支援を継続しております。大船渡市においては末崎町の細浦地区と碁石地区の2地区の復興をお手伝いしておりますが、地域特性や住民の方々のお考えも違うので、支援内容は全く違います。
例えば、細浦地区はもともと会社勤めの方が多く商店もほとんど無かったため、大きな支援テーマは高台移転によってバラバラに住むことになった住民の方々のコミュニティの維持でした。そこで旧JR細浦駅前に作られた広場で定期的に朝市を開催することを提案し、ご賛同いただいたので毎月月末に朝市を開催しております。朝市に必要な設備については、各種補助金を活用いたしました。この朝市については社会貢献事業推進委員会に所属する会員が訪問し、運営に関わるご相談に乗っております。
また碁石地区においては、水産関係の住民や事業者が多くまた風光明媚な碁石海岸を有している観光地でもあるため、支援テーマは補助金をフル活用した事業者の復旧と地域の観光振興が中心となりました。そこで事業者に対する直接支援だけではなく、「碁石海岸で囲碁まつり」というイベントを提案し、ご賛同いただいたので平成26年7月に第1回目を開催いたしました。新コロナ禍による中断はありましたが令和5年10月に「第8回碁石海岸で囲碁まつり」が開催され、地元の熊野神社に「囲碁神社」を名乗っていただくとともに境内でコンサートを開催するなど、囲碁ファンだけではなく大勢の方々も楽しめるようなイベントとすることで成功裏に終わりました。
3.11にて被災された事業者の方々はひとまず復旧は実現できましたが、災害に伴って変化した地域社会や新たな経済状況に適合することが求められています。また原発問題については特定復興再生拠点区域における避難指示がすべて解除され、居住が可能な地域が増えてきました。それに伴い、停止していた事業者の再開や起業希望者の増加が予想されています。今後も被災地においては中小企業診断士が必要とされますので、継続した支援を実施するとともに、被災地への支援ノウハウの集約や蓄積を行っていきたいと考えております。
今後も会員の皆様のご協力、ご支援をお願い申し上げます。
囲碁神社の扁額
細浦地区朝市で活動す