城西プロコン養成塾(JOPY)20期 チーム別診断実務実習報告
城西支部 高橋 良雄
JOPY後半のヤマ場は、受講者が4チームに分かれて行う診断実務実習です。私たちD班は、知的障害者を対象とした就労支援、生活介護、共同生活援助、特定相談支援などの支援事業を行う杉並区内の社会福祉法人を担当しました。区内2か所を主な事業所として運営しており、常勤・非常勤職員合わせて60名ほどを擁する施設です。
本実習では、一般企業とは異なる収益モデルと会計制度を持つ社会福祉法人の特殊性を理解することから始まりました。2024年11月からおよそ1か月をかけて、内部打ち合わせとヒアリング準備から始まり、両拠点での初回ヒアリングと施設内見学、課題抽出と提案ストーリーの検討、中間報告と追加ヒアリングを経て、最終提案内容の調整を行い、法人幹部に向けての最終報告会で締めくくりとなりました。
実習チームのメンバーは、それぞれが持つ専門性と経験を活かし、組織面、収益面など多角的な視点から活発な議論を展開しました。財務分析では、社会福祉法人特有の会計基準による計算書類(資金収支計算書、事業活動計算書、貸借対照表)の解析に取り組み、他法人とのベンチマーク比較を通じて、現状分析を行いました。また、組織力の強化に向けた人材育成体制の整備や、社員同士が助け合えるような組織としての一体感醸成のアイディア、整理整頓や間接業務の削減を通じた働きやすい職場づくりのための具体的な改善提案を導き出しました。
直接メンバー同士顔を合わせた打ち合わせに加え、オンラインのグループウェアを活用して効率的な情報共有を図り、メンバー全員が積極的に意見を出し合いながら提案内容の質を高めていきました。今回は中間報告での追加ヒアリングの機会を得ることができ、メンバーそれぞれが担当するテーマに関する、より深い質問を投げかけることで提案の具体性を高めることができました。
指導員の安田先生からは、当法人に関する知見や洞察を共有いただき、提案の方向性が現場のニーズから逸れないよう適切なアドバイスをいただきました。これにより、より実践的な提案をまとめることができました。
最終報告会では、理事長をはじめとする幹部の方々から提言の内容は鋭い指摘であるとの評価をいただき、「これからいろいろと変えていきます。1年後にまた見に来てください」というお言葉もいただくことができました。私たちの提言が法人の皆さんの刺激となったことが実感できた瞬間でした。
参加メンバー全員にとって、障害者福祉という新しい分野での診断実習は、中小企業診断士としての視野を広げ、社会貢献の可能性を実感する貴重な機会となりました。