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第6期金融支援塾「第5回」受講報告

起業・創業支援と事業計画書の作成

中央支部 鷲山 雄一

2024年7月27日(土)、東京都中小企業診断士協会所属の企業金融研究会が運営する金融支援塾(吉田勉塾長)の第5回(全6回)に参加しました。
吉田塾長のもとで、5名の塾生が金融支援に必要な基礎知識を学ぶとともに、実践的な資料作成やプレゼンテーションの訓練を通じて事業者支援に役立つスキルを磨いています。
各回のテーマは、第1回「財務諸表の見方~実質財務への修正~」、第2回「月次資金繰り表の見方と作成」、第3回「資金運用表の見方と活用」、第4回「制度融資・補助金の活用」に続き、今回は「起業・創業支援と事業計画書の作成」です。
前半は吉田塾長から創業支援に関する基礎知識を学ぶ座学でした。

創業支援の主な制度の解説では、補助金と制度融資の概要を説明していただきました。国の補助金はかつての「創業補助金」が無くなり、「小規模事業者持続化補助金・創業枠」に代わっていること、東京都も独自の創業助成事業による助成金制度を用意していることを知りました。制度融資では日本政策金融公庫の創業融資がまず頭に浮かびますが、東京都各区が用意している中小企業事業資金融資あっせん制度による創業支援融資は、金利や保証料の補助がある有利な制度だと理解できました。
事業計画の作成に関する解説では、金融機関が納得できる事業計画とするために、事業環境の変化に最適な対応であること、自らの強みを活かして事業機会を取り込む具体的な取り組みを示す中長期的な戦略プログラムであること、などが求められるというポイントを改めて認識することができました。また、売上計画では製品別・商品別・販売先別に記載することで戦略を明確にすること、財務計画では約定弁済の可能性などを判断できる内容にすること、計画の実施に当たってはPDCAサイクルを回し、計画を絵にかいた餅に終わらせないこと、などの点を理解することができました。
後半は、事前に出題されていた「架空の飲食店創業者による創業計画」について参加メンバーがプレゼン発表を行い、討議するセッションでした。
事前準備では、都内のテナント賃借料や飲食店創業時の開業費用などに関してインターネットで最近の動向を検索しました。中小機構J-ネット21の「起業マニュアル」と日本政策金融公庫の「創業支援メニュー」のサイトが大いに参考になりました。
参加メンバー5名のプレゼンは、ラーメン店、蕎麦店、和食店、洋食レストランがあり、創業者の経歴や創業への想い、他店との差別化ポイントをそれぞれに工夫した計画が発表されました。
売上に関して、席数を固定(30席)した条件のもと、単価設定と回転数、原価率の想定がポイントでした。立地に関しては、一等地では賃借料と保証金の高さが利益確保を難しくすることが体感できたほか、人件費、光熱水道費などを最近の物価上昇のなかで妥当な水準を探るのにも皆さん苦労されました。

プレゼン後の討議を通じて、それぞれの創業者の想いや戦略がより明確になったという印象です。数値計画については、時間の制約から細かい点までは目が行き届かなかったものの、想定した数値の根拠や現実的な前提の置き方などのヒントを得ることができました。
座学で得た知識を演習でのプレゼンで深める金融支援塾の手法は、中小企業診断士としての実力向上につながることを実感しています。
私自身は金融業界に長く身を置いてきた経験から、中小企業金融に関する知見を磨きあげることで独立診断士としての活躍の場を持ちたい、というのが企業金融塾への参加動機でした。他の参加メンバーは経験した業界や診断士経験もさまざまで、自分と異なる視点や考え方がおおいに刺激になっています。
当塾は残る第6回(8月下旬開催)で塾長からの講義と参加メンバー各自によるプレゼン大会を以て修了となります。当塾卒業生には、塾長が主催される研究会でのプレゼンの機会が与えられるほか、実務従事ポイントの取得機会もいただく予定となっており、これから中小企業診断士としての活動の場を広げる大変良い機会に恵まれたことに心から感謝しています。

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