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商店街研究会7月例会

商店街研究会7月例会では、講師の中小企業診断士 松原憲之 会員から商店街まちバルについて、事例を含めながらの講義をお聞きした。
1.「まちバル」とは
700円券5枚セット(3,500円)のチケットを購入し、複数のお店を食べ飲み歩き(はしご酒)するイベントである。まちバルは、まちゼミ、100円商店街などとともに、商店街活性化「三種の神器」のひとつと言われている。まちバルは、商店街への来街者の増加ではなく、来店者(新規客&再来店客)を増やす取り組みになる。個店が連携することで、より大きな集客力と効果が見込め、1個店ではできない集客と効果が実現できる。
2.まちバルの必須ツールについて
商店街全体ツールは、パンフレット、チケット、ポスター。個店の周知ツールは、のぼり旗、店頭POP、店内メニュー、缶バッチなどである。
3.再来店客(将来のファン)を獲得するために行うこと
①初来店してくれたお客様に開催当日に満足してもらうことが重要なので、飲食店へ期待する要素として、品質(料理)Q、接客サービスS、清潔感C、雰囲気Aの4つがある。
②初来店してくれたお客様が次回来店する動機づけを行うために、商品の値引きや1品無料のサービス券の配布などを行う。
4.「まちバル」が100あれば、100通りの「まちバル」がある。
最近の傾向として、「まちバル」に飲食業以外の業種・業態が参入している。例として、烏山で行われた「みやバル(お土産バル)」は、テイクアウト感覚で気軽に利用できるのが女性に人気だった。多種多様なバルが行われている。①まちバル、②みやバル、③体験バル、④複数の駅や商店街を巡る連携バルやリレーバル、⑤商業施設と商店街の飲食店を巡るバルなど多彩な取り組みがある。
5.全国に広がっているまちバル現象について
①取り組みやすく効果が明確に見込める。まち・地域社会の中で、お客と参加店・商店街の中に良い関係ができる。「まちなか観光」や「新しいコミュニティ拠点」が形成される。
②時代の要請 (業種構成の変化)。商店街において飲食店の割合構成が増加している。
③個店競争から地域共創へ。飲食店の高い創業率と廃業率が背景にある。
6.世田谷区内に広がる「ちょい飲み商店街(まちバル)」現象
「商店街、行政、診断士」の三位一体の取組みで、診断士はFacebookやホームページで「情報発信」などのお手伝いを行った。
①飲食店への動機づけを高めるため
• 核となる飲食店主(3店舗)を説得し、賛同を得て推進役になってもらった。• 会合は、飲食店の都合の良い曜日の良い時間にセッティングを行った。• 興味を持ってもらうため、他の「まちバル」(赤坂)の視察を行った。
②第1回目を確実に成功させるために
• 参加店に前売りチケット10セットの販売ノルマを必須ではないが課した。• 商店街理事長、支援者も覚悟をもってチケット販売にあたった。• 駅構内や区の公共施設など様々なルートから開催情報を積極的に発信した。
③参加店の不安を払拭するために
• 前売りチケットの販売状況を逐次フィードバックすることにより、正確な判断材料の提供、仕込み量や、一般客より「まちバル客」を優先するなどの支援を行った。• 直前まで参加店の巡回相談を実施し、モチベーションアップに努めた。
7.計画から導入まで (実際のオペレーション)
計画から開催まで、全体会合 反省会を実施した。開催に向けて特に中核メンバーとの意識合わせ等の合意形成に努めた。パンフレット原稿の締切日など参加候補店への案内と勧誘を行った。まちバル実行委員会の立ち上げを行った。写真撮影などパンフレット業者との打合せ、特にパンフレットについて宣材類の作成・校正・完成の確認を行った。約1か月前から前売券の販売を行った。
8.まちバルを成功、継続させる「7つの要件」について
(1)目的、目標の設定:得られるメリット、本質の確認を行う。
(2)参加店全店での実行委員会の組織化:当事者同士の一体感、主体性の醸成、フリーライダー出現の防止を図る。
(3)充分な準備期間と事後検証:「各種支援策の期限ありき」で動かず、PDCAサイクルを回し続ける。
(4)魅力的なパンフレットの作成:お客様にとって唯一の判断材料になる。笑顔のスタッフ、店内雰囲気の画像などをパンフレットに印刷する。
(5)徹底した「前売り券」の販売:参加全店舗の覚悟と受益者としての責任を果たす。
(6)自主財源の確保:補助金頼みに陥らない。受益者負担の精神をもって行う。
(7)お客様満足度の継続的ブラッシュアップ:常に事前期待値を上回る努力をする。アンケートを行いお客様の反応を調査する。

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